私たちのカンボジア体験
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カンボジアの働く子供たち (上智大学「緑陰講座2011 in CAMBODIA」参加報告)

上智福岡高等学校 高校2年 金子道直

 今、日本の人々は、「子供」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。ある人は未来の希望といったり、またある人は「あの頃は良かった」などと言うかもしれない。
緑陰講座の行き先であるカンボジア。そこに住む子供たちは、売り子として働く子供もいれば、農作業に従事する子供もいる。そのように、何らかの仕事を持っている子供がいる反面、小学校で教育を受け、アンコール遺跡を見学しに行ったり、絵を書いたりといった、日本で「普通の子供」と言われる子供たちもいた。そのような違いがありながらも、カンボジアの子供たちに共通して言えることがある。ほとんどの子供は、顔に笑顔がある。こちらが照れてしまうような笑顔。その笑顔は楽しげで、私達日本の現代人にはまるで持ち合わせていないような、純粋な心を示してくれる。


 働く子供たち。それは、日本にはまず、存在し得ない。しかし、カンボジアにはそれが存在した。韓国語、中国語、英語、日本語、クメール語を、意味がわかるのかわからないのか、片言で話し、遺跡を見学しにきた観光客に土産物やアクセサリーといったものを売る。時には歯の浮くような言葉で誘惑してくることさえあった。彼ら子供たちの働きで、一家の生活が、大きく左右されることになる。それはやはり、子供を必死にさせるのであろう。


 もし、今これを読んでいるあなたが、同じような境遇に立たされたと考えて欲しい。自分が1から商売を始めて、一家5人ほどを養っていくのだ。そして周りには同じような家族が10ほどある。この中で、言葉も通じないような外国人相手に、たった一人で商売をしなければならない。


 おそらく、大半の人々が死に物狂いで商売をするだろう。


 そこら中の人たちを、片っ端から引き止めて、これはどうかあれはどうかと様々な物を押し付けるだろう。


 正直、自分は最初、そのようにして商売をする子供たちを見て、これはどういうことか、このようなことが商売として成り立っているのかと、目を疑った。


 しかし、先ほどのように彼らの立場を考えてみれば、なんらおかしくはない。ごくごく、自然な行いなのだ。


「だからといって子供が働く必要があるのか。大人が働かないで、なぜ子供が働くのだ。」 そう言う日本人もいるのかもしれない。


 幾度と無く、大人が売り子をしている様子を見かけたが、どうも、買う気にはならなかった。子供は何処へ行っても可愛いものなのだ。売り子として働いている子供たちは、一家を養うという使命があるため、必死なのだ。その必死さが、伝わってくる。自分が売っているものの使用方法を、言葉が通じない代わりに、身振り手振りや、実演で教えてくれるのだ。実際、大人の売り子は、なんとなく近寄りがたいと言うか、怖い。だからこそ、子供が大人に変わって、商売をするのだ。


 しかし、このことで最近問題点としてよく聞くのは、「商売が繁盛することによる依存」だ。「子供が売れば繁盛する。じゃあ、子供にもっと、ずっと商売をさせてればいいじゃない。」という考え方が増え、さらに働く子供が増える。そのことによって貧困問題が加速する、ということだ。なので、できるだけ子供の売り子から商品を買わないようにしよう、という動きが出てきている。


 しかし、これには大きな問題がある。先ほども言ったように、彼らは一家の生活を支える、いわば大黒柱なのだ。彼らの稼ぎが減ると、家族の収入が減ったことになり、生活が苦しくなる。これでは貧困問題もなにも、まず、人として生きることすらできない。


 また、そのようにして商品を売る人たちがいなければ、観光地は活気づかない。土産というものは、旅行の楽しみの一つでもあるのだ。


 今、カンボジアの主な収入は観光事業と言われている。それを守るためにも、働く子供がいて、彼らもまた、守るべき家族がいる。それが問題視されるのも、先進国からすれば当たり前なのだろう。しかし、現実を見て、彼らの真実を知った時、それらの問題と言われていることが、どれだけ意味が無いかを、自分と同じように、他の観光客も、実感することだろう。

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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