半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第1期】カンボジア渡航報告書

okamoto.jpg 7月25日から8月6日までの間、プノンペンとシェムリアップを訪れた。

 渡航する以前は、貧困・格差・地雷とその被害などといった暗い印象が強かったため、大きな期待と同時にかなりの不安もあったが、現在はその固定概念とも言える印象は一変した。彼らは、道でも常に笑顔を絶やさず、見知らぬ私たちに言葉をかけて、温かさを感じ、また、好奇心旺盛で積極的でもあった。

 私は教育に関心を持っており、国の基盤を整え強化するためには、教育の充実が最も重要と考えている。よって、教育機関への視察、学生・現地の人々との交流を今回の訪問の第一目的としていたため、カンボジア大学・孤児院へ訪問したことにより通常の旅行では得られない体験をした。大学では彼らの生の意見が聞け、授業に参加したことにより日本とカンボジア間の現在、そして今後の関係なども様々な観点から話し合い、また、孤児院では、彼らの生活を肌身で感じることができた。それらを通じ学生や子供たちのみならず教員や大人の、現在に至るまでのカンボジアにおける数多くの内戦やポル・ポト政権下であった体験を踏まえ、教育を通じた国自体の再建への強い意志と熱意を感じるととともに、教育の重要性を改めて痛感した。

 今回の体験で最も印象深かったのは、カンボジア大学に訪問した際に出会った僧侶の「あなたの様な外国人が、カンボジアを訪問し、調べ、知ろうとする行動は、この国の今後の発展にカンボジア国民とともに貢献することになるであろう」という言葉である。現在の私には、カンボジアの再建を手助けする力は、全くと言っても良いほどないかもしれないが、私がカンボジアへ赴き感じたことを在学する大学などの周囲の人々に伝え、興味を持ってもらい、今後より多くの日本人が募金などを通した資金協力をするのみではなく、自国の資金・ODAがどこにどの様な形で使われているかを実際に見てみると同時に、雄大で手つかずの自然と偉大な歴史を持つカンボジアへ自ら赴いて、それらの矛盾や現実について考えて欲しい。

 カンボジアではこれらの経験と同時に、障害者の兄の乗る車椅子を押す弟や、地雷の被害を受けたためか地を這うようにしながら後ろを追いかけてくる物乞い、シンナーを吸う10歳程度の子供達など、目を覆いたくなるような場面に何度も直面した。日本から、僅か6時間程度の距離にあるにもかかわらず、カンボジアの現状や真実は知られていないに等しい。例えば、テレビ番組などでカンボジアに学校を建設しようという企画をよく目にする。私自身、カンボジアへ訪問する前まで学校建築は素晴らしいと思い疑うことはなかったが、実際に訪問し現地の声に耳を傾けてみると、現実は少し違っていた。それらの計画は学校を建設するのみで終了してしまう場合が多く、その後の維持・管理や、教材や教師に払う給料などの継続的な資金の調達を行わないため、開校はするものの、その大半が廃校となってしまうという事実が問題となっているとのことであった。そのため、学校数を増やすよりも現在、存在する学校を末永く存続させるための協力が必要であることが、カンボジア大学の人々と話すことにより理解できた。

 同時に、世界屈指の遺産であるアンコールワット遺跡群、東南アジア一の大きさで人々の生活を潤しているトンレサップ湖、雄大な熱帯雨林、そしてカンボジアに暮らす人々の優しくおおらかな人柄と、その人達が作り出す美しいシルクの織物など、文化・自然・人との触れ合いを、観光客としての毎年多くの日本人が体験しているので、何かを思い、ともに生きていくための一歩を踏み出すことから始めるのは可能ではないかと感じた。また併せて、日本製品の質・知名度の高さ、そして日本の国としての力をODAやJICAを通じて行っている支援により、日本人として誇りも感じた。

 現在、私はタイ人留学生と共同生活を送っており、3年間が過ぎようとしている今、彼女は私の大切な親友である。カンボジアから帰国し、早2ヶ月が経とうとしているが、今回訪問した際に友達となったカンボジア人の友人らと近況を報告するメールを続けており、彼らともタイ人のルームメートと同様に良好な関係を保ち永く付き合っていきたい。そして、同じアジアに住む隣人として、カンボジアに住む友人も努力すれば報われる社会で暮らし、一日でも早く心から安心できる空間・人生をカンボジアの方々が送れることを私は願い、日本においても東南アジアに最も近い九州からの架け橋となれるような人生を送れるよう、尽力していきたい。

 最後に、この様な素晴らしく有意義な体験をさせて頂いた在福岡カンボジア領事館と、見知らぬ外国人に温かく接してくれたカンボジアの方々に心から感謝したい。


立命館アジア太平洋大学 岡本 歩

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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