半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第2期】孤児院で幸せの意味を考える

 「幸せ」とは何なのか。人が人として生きていく上での永遠の課題ではないだろうか。私はカンボジアに足を運び、活動している間考えずにはいられなかった。孤児院の生活というものは、やはり社会からかけ離れた場所であり、複雑な面がたくさんある。孤児である現実はこれからも続いていくわけだ。

uchida_01.jpg その孤児であるだけでハンディを受けることになる。例えば、職業に就く際にも、1人の人間である前に孤児であることから採用されないのである。何と不条理な世の中なのか。あの子たちも好きで孤児になったわけではない。好きでなったわけではないのに、孤児のレッテルを貼られてしまった挙げ句にこの状況。このような世界があって良いのだろうか。我々が生活している同じ地球上で起こっているのだ。

 孤児院の中の生活も決して満足、いや足りないことだらけだ。ここカンボジアで1日生活するために最低限必要な食費代が1ドルといわれている。日本人が聞いたら驚くに違いない。しかし、もっと驚愕な事態がこの孤児院では起こっている。この孤児院に生活している子どもたちは延べ84名であるが、全員にかかる食費代が何と1日15ドルなのである。3食はでるのだが、実際にその食事を見てみると、栄養不足なのは一目瞭然であった。お粥にソースをかけるだけの朝食。昼食もご飯に野菜スープ。子ども達の腹部を見ると、ふっくらと出ている。あの年にして俗に言うメタボ症候群なのか。いや、栄養失調から来る症状なのである。目の前で食事をとっている子ども達の食べ物を目にしたとき、目を覆いたくなってしまった。

uchida_02.jpg これだけではない。元々10名程度を収容する予定だったこの施設が今では84名。当然寝室の確保が出来ていない。普通、1人に対し蚊帳は1つ使用するのだが、十分なスペースが確保されていないため、3人が体を寄せ合って夜を明かす。こういった悪条件の中でも一番の難題が心の問題である。再び訪れた際、中学生になる女の子が精神疾患を患っていた。小学生頃の子ども達は、自分が孤児であること、なぜこの施設にいるのかまだ深く考えてないし、理解していない。ところが、物事が少しずつわかり始めるようになる中学生頃になると、当然として、自分が置かれている状況や現実を考え始める。その時に精神的に追い込まれることになるのだ。さらに、そのやるせない気持ちだったり、自分ではどうしようもならない問題であるこの現状。

 しかし、孤児院ではみんなが助け合いながら生活を送っている。当然不安や悩みを誰しもが抱えながら。自分自身が抱えたものはみんな持っている分、相談できない。そうすると、その抱えたものがさらに増え、相当な重荷となり、最終的に1人で抱えきれないほどのものとなり、精神疾患になり倒れてしまうのだ。これを知ったとき、ショックのあまり言葉を失ってしまった。それでも生きていかなくてはならない。

 1番最初にふれた、「幸せ」とは何なのか。私が体験した中で言えることは、幸せとは何か、そのことについて考えることが出来る、それ自体が幸せなことなのではないのかと強く思うようになった。孤児院の子ども達は幸せについて考えることなく、正確に言うと考える余裕もなく1日1日を大切に生きている。生きることに精一杯なのだ。今やるべきことをしっかりと行動している。こういった状況でありながらも支援者に感謝している。ご飯を食べられる「喜び」、学校に通える「喜び」、みんなと遊んだり勉強したり出来る「喜び」を感じながら。子ども達の生きる力強さを教えてもらった。

uchida_03.jpg この子ども達と出会えたことによって私がこれからやらなければならないことが明確になった。これからも子ども達の目線に立って、彼らのために少しでも力になりたい、幸せを届けてあげたい。また、教育を通じた国際関係の仕事に携わりたい。

 やはりカンボジアのような経済的に決して裕福とは言えない国において1番重要になるのは教育である。教育水準を上げることによって、国力も増すのである。今は世界における日本であったり、世界の中の中国といったような、世界を意識した時代である。それは大事なことだ。しかし、私は世界に向けた発想ではなく、まずは何よりもカンボジア自国内だけで生きていけるような環境設備が先決ではないのだろうか。実現するためには今は、自国内の人材だけで補えないことは事実である。しかし、教育水準を上げることで、この子ども達がこれからのカンボジアを支えていく大切な宝物となる。

 その子ども達がカンボジアを背負っていくときが来たら、カンボジアの明るい未来が訪れることであり、孤児などもいない世界になる。これが実現できるように支援したい。勝手な使命感ではあるが、そのためには私自身、もっと勉学に励み、活動しなければならないと実感した。あの子ども達が本当の意味で「幸せ」が来る日を思い続けながら。


下関市立大学 内田 朋宏

在福岡カンボジア王国名誉領事館

  • 開館日 月曜日~金曜日
  • 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
  • 開館時間 9時半~17時半
    (※ビザの申請・発行は12時半まで)

年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。

開館時間 9:30~12:30
問い合わせフォーム