半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第3期】カンボジアの農業と食べものを見て歩く

 プノンペン滞在中の数日間を、一家で日本語通訳をされているソワンさんのお宅に泊めて頂きました。その家の3階のベランダから、町の様子を眺めているだけでも本当に楽しい日々でした。プノンペンの朝は早く、7時前には通りは賑わいだし、街角の小さな食堂には人が集まりだします。お店で食べることもあれば、持ち帰って家で食べることもあります。カンボジアでは何でもビニール袋に入れて持ち運ぶ習慣があり、たとえ氷が沢山入ったサトウキビジュースでも、熱々のスープが入ったクイティウ麺でもお構いなしで、バイクの持ち手にぶら下がっていることさえあります。

takahashi_01.jpg 朝食を食べたら子どもは学校へ、大人は仕事に向かいます。その時の交通手段にはバイクや自転車がほとんどで、そのどれにも少なくとも2人が乗っていました。中学生くらいの子どもたちが自転車に3人乗りして笑顔で学校へ向かうのを眺めながら、「乗れるだけが定員」の乗り物文化は受け継がれていくのだなぁと感じました。

 お昼休みには大人も子どもも昼食をとるために一度家に帰りますが、それを見計らってか、どこからともなく屋台がやってきます。サトウキビジュースやアイスクリーム、炭焼きのワッフル、焼きバナナの屋台など、多種多様な屋台がありました。

 フルーツシェイクやチマキのようなお菓子、甘味などに砂糖を大量にかける習慣がありますが、これは砂糖が身体を冷やすことを本能的にわかっているためだろうと感じました。強烈な日差しの中を歩き回った後に飲んだ、冷たくてとても甘いサトウキビジュースに何とも言えない落ち着きがあるのは、その冷たさのためだけでないような気がして、カンボジアの乾期の暑さを乗り切るための知恵を感じました。

 途中、ソワンさんの奥さんのご実家があるバッタンバンに滞在させていただけることになりました。プノンペンからはバスで6時間ほどの旅でしたが、その間の風景の変化はとても面白いものでした。騒々しい街並から徐々に高い建物が減ってゆき、一面の田園風景へと変わってゆきます。とはいっても日本のそれとは大分趣が違い、乾期の田はカサカサに乾燥し、所々で白や茶の牛がのんびりと草を食んでいました。水のある川では魚の養殖が盛んに行われており、水面が見えないほど茂った蓮の葉のところどころから桃色の花が浮かぶように咲いて、その隙間に半ば沈むように水牛が潜んでいたり、見れば見るほど新鮮な驚きがあり、窓から目が離せませんでした。

takahashi_02.jpg バッタンバンでは初めに稲作を見に行きました。カンボジアでの米作りの多くは雨期に行われますが、水路や川が近くにある場所では1年中行われます。乾期に作られるお米は「軽い米」と呼ばれ、雨期の「重い米」よりも早く収穫できるそうですが、味は少し落ち、値段も少し安いそうです。育て方もそれぞれ違い、雨期では日本と同じように苗を作り、(これは日本とは違いますが)先端を少し切ってから田植えをするのに対し、乾期では田んぼに直接蒔くとのことでした。言われてよく見ると、隙間無く育った稲が風になびく姿に、まるで草原に立っているかのような気持ちになりました。

 夕方になってその日泊めて頂くお家に着いた瞬間、驚いて、足が地面に釘付けになりました。植物に半ば埋もれるように囲まれたその家は、テレビや教科書にあるような高床式の家で、庭にはバナナやマンゴーの木が茂り、丁度食べごろの実が甘い匂いを漂わせていました。その高床の床の下で夕食を頂きました。構造からして当然と言えば当然なのですが、「床」から電球が下がり、その更に下で食事をとる、というのが、とても新鮮でした。電気は通っていてもほとんど「真っ暗」に近い状態だったので、食事をとってからすぐ眠りました。

takahashi_03.jpgまだまだ暗い早朝6時前、お経を読む声に飛び起きました。どうやらその日は「仏日」で、お経は近くにあるお寺のスピーカーから流れてきているようでした。暗闇の中それを聞いていると、今度は別の方向から賑やかな音楽が聞こえてきました。こちらは結婚式のようで、その騒々しさの中、しばらくは横になっていましたが、明るくなってきた頃には寝ていられなくなり、何事も無いように眠っている皆さんの横をぬけて庭へと出ました。庭を散歩しているうちに夜があけ、朝日のもと朝食に出かけました。大きなお寺の前の小さな食堂でとったこの朝食でつい油断して食べてしまったキュウリ一切れによって、下痢と高熱に苦しめられることとなりました。その日の晩にはまるで動けず、心臓が早鐘をうつのだけを聞いていました。

takahashi_04.jpg 18日に未来の光孤児院へと訪問させていただいた時は、その体調のせいもあってか子どもたちの笑顔をよりまぶしく感じました。このような調子だったのでシェムリアップ、アンコール遺跡群へいくことは諦め、予定より早い帰国となってしまいました。

 カンボジアは思っていたより発展した街で、人々も元気であるように感じました。しかしそんな発展からちょっと目をそらすと、地雷で身体の一部を失った人や、物乞い、小さな子どもの物売りがおり、また街を離れた田舎の暮らしは街のそれとは大きく違っているなど、差の大きな国でもありました。

 街と田舎などで、その環境に合わせて暮らしぶりが変わることは当然です。このような「あっても良い差」を残し大切にしながら、暮らしてゆけないほどの貧しさを生む貧富の差などの「あるべきでない差」を小さくしてゆけるよう、努力してゆけたらいいと思いました。


東海大学農学部 高橋 梨沙

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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