半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第3期】シャイと見栄とプライドが同居

nakamura_01.jpg 「Hello!」と片手をあげ、通り過ぎていく子供たち。「なんだ、その澄まし顔は?」
私のカンボジア視察はそんな驚きから始まった。

 地雷や貧困の印象が強い国、カンボジア。これから日本企業が海外展開する上でカンボジアをどのように捉えていけばよいか、私なりのビジネスの視点を通して物事を見ようと思い足を踏み入れた。

 町並みについては思った以上に道路は整備されており、かつて訪れたアジアのどの国よりも綺麗だと感じた。人々のシャイ気味な性格は最も印象的だ。

nakamura_03.jpg 孤児院や公立小学校を開放して行われている夜間語学学校で多くの時間を過ごした。日が昇っている間は、働いている大人達も通うことができる学校である。私自身も日本語と英語のクラスで授業をした。指し棒は、長い木の枝であった。学校では日本人の私に興味津津ではあるが自分から積極的に話かけてくる子はなかなかいなく、隣の子とこそこそ何か話している。日本のことを考えるきっかけにしてもらえればいいなという思いと、私自身も海外に行く経験から感じたジャパン・ブランドを日本人の一人として発信していくことができたらなと、カンボジアでもかつての旅と同様に抹茶を点てた。初めて見る剣山や和傘、浴衣、泡立っていく液体に子供達の表情も自然にほぐれていった。見よう見まねでお茶を飲む子供達、点ててみたいと教えを乞う子供達。その好奇心でどんどん自らの価値観を揺す振らせてほしいと思った。

nakamura_02.jpg Tシャツに自由に絵を書いてもらおうと、ペンを渡した。案の定、みんな遠慮しペンがたらい回し手渡されていく。一人が書き始めると、今度はペンを貸してとみんなで手を差し出す。誰か一人が一歩を踏み出せば、大きな集団の力がそこには生まれるということ改めて感じた。絵を描いたり、抹茶の点て方、花の生け方を教えると徐々に打ち解け、カンボジアの炎天下に疲れ、建物の陰に隠れていた私を引っ張り出してまで「遊ぼう、遊ぼう」と誘ってきてくれるようになった。日も暮れ、「また明日ね」と笑顔で別れるが、翌日行ってみると澄まし顔の振り出しに戻る。そんな少しくすぐったいような日々の連続だった。

 物売りですら「No!」の一言で引き下がってしまい、目を見て押し売りできずただただついて歩くだけ。長く目を合わせると照れる、恥ずかしがる。自分から話しかけてくる人は多くない。質問をすると一先ず周囲の様子をキョロキョロと伺う。しかし話しかけられると紅一点。質問に対し全力で答えようとする。少しシャイだが勤勉で熱心、日本人に近いと感じた。

nakamura_04.jpg 金融市場がなくファイナンスが機能していないカンボジアでは、ビジネスを始めようとしても資金調達で躓くことが多々あった。しかし証券市場が誕生する。海外の多くの投資家の目が向けられ、潤沢な資金による既存のビジネスの拡大は勿論、新たな技術の伝承も期待できる。今後シャイな彼ら彼女たちと多くのビジネスチャンスの種が出会うことで、どんな花が咲き乱れていくのか。澄まし顔で通り過ぎていく子供たちを見ていて思い浮かべたものがある。カモだ。澄まし顔で優雅に水面を進んでいくカモ。水面下では足をバタバタしているにも関わらず決して私たちには見せようとはしない。見栄っ張りと言ってよいのかどうかはわからないが、多少の見栄がなければ前へと進んでいく原動力はうまれないだろう。子供達の表情の裏に「見栄」や「プライド」とまではいかずとも、それぞれがうちに秘める「夢」や「情熱」を感じた。日本人に近い勤勉さと内に秘める思い。カンボジアの今後のビジネス面における成長を期待してしまう視察だった。


九州大学経済学部 中村 文香

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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