半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第3期】 日本語教師を体験

 遊学期間は、3月31日から4月20日まで。この三週間の遊学を通して、カンボジアのいろいろな側面を知ったことで、東南アジアにある一つの国でしかなかったカンボジアが、思い入れの深い国へと変わった。今回私は、日本語教育と貧困の現状を視察し、途上国支援のあり方を考えることを目的とし、カンボジアに行ってきた。

naka_01.jpg まず、日本語教育に関してだが、プノンペン市内だけでも大学・日本のNGOやNPOが設立した学校・孤児院など自分が想像していたより様々な場所で行われていることがわかった。それぞれの機関によってカリキュラムや目的は異なり、日本語教育だけではなく、日本式のビジネスやマナーを教えている所もあった。その中でも私は将来の夢であるNGO就職を見据え、「カンボジア・NGO」が設立したNGOスクールという学校で5日間ボランティアをした。私がこのNGOを選んだ理由は、カンボジアの人々に数年かけて学校経営に必要な知識を与え、現在は経営や管理など業務に関わる一切のことを彼らに委ねているからだった。「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」というこの学校の理念に共感した。

 この学校では毎日2時間、日本語の授業を受け持ち、残りの時間はカンボジア人の先生が教える日本語のクラスを見学させてもらった。私は、日本語教師養成講座を終了していたが、実際のクラスで日本語を教えたことがなかったため、少し緊張していた。しかし生徒の無邪気な笑顔と授業に真剣に取り組む姿を見て、その緊張もすぐにほぐれ、楽しんで日本語を教えることができた。そして途上国で日本語を教えたいという思いは強くなった。

 一方でグローバル化が進み、英語が国際語である今、日本語の人気は下降しているという現実がある。それは、この学校で日本語と英語を学んでいる生徒数を比較しても明らかだった。貧困国であるカンボジアでは、言語を学ぶのはいい職を得るためと考えている人が大多数である。日本語を習得したところで、主な就職口はツアーガイドしかないため、将来に活かせないことから学習者は減ってきている。その主な就職口であるツアーガイドも免許を取るのにお金がかかるため、日本語が流暢に話せても、お金がなければ免許をとることさえできないという現状がある。これらのことを考慮すると、少なくともカンボジアでは日本語教育よりも他の方面からの支援が必要とされていると感じた。

 次に、貧困に関して私が感じたことを述べたいと思う。予想していた通り、カンボジアには、貧困に纏わる問題が山済みであった。ある日本人の男性から聞いた話では、1日50セントで生活する人、3ドルで売春をさせられている人がたくさんいるとのことだった。また、町を歩いていると、ストリートチルドレン、物乞いをする人々、地雷の被害者をよく見かけた。旅の始めは、彼らを見るたびに心が痛み、自分にはお金をあげることしかできないのかと無力さに落ち込むこともあった。しかし途中から、これがカンボジアの一部であるかのように、この現実に慣れている自分がいることに気づいた。そんな時、青年海外協力隊で看護師として働いている女性の記事を見つけた。彼女が働いている病院では、診療を受けるのに数時間待つのは日常茶飯事で、また重症患者を先に診断するという制度がないため、病院で息絶えていく人を見たこともあると言う。しかし周りの人が驚いた様子はなく、それが当たり前かのように冷静だったと言う。その光景を見た彼女は、「一番怖いのはこういう現実に慣れてしまうことだ」と思ったそうだ。私はこの記事を読み、自分もその内の一人になっていたことを反省すると共に、無力さを感じるのではなく、貧困という問題にきちんと向き合っていこうと決心した。

naka_02.jpg このようにカンボジアの人々は貧困と隣りあわせで生きているにもかかわらず、本当に温かい心を持っていると感じた。それは、彼らが東日本大震災の被災者のために、寄付金を募ったり、チャリティ活動をしていたのを眼にした時である。他にも、ある日系の会社では、従業員全員が一日分の給料を寄付したという話を聞いた。自分の生活や家族を養うので精一杯にもかかわらず、他国で困っている人の手助けをするカンボジアの人々の姿勢には深く感銘を受けた。それと同時に海外で悲劇があっても、他人事のようにしか感じていなかった自分を恥じ、これからはもっと世界情勢に目を向けていこうと思った。

 最後に、このような貴重な機会を与えてくださった半田晴久領事を初めとする福岡カンボジア総領事館の方々には感謝の気持ちでいっぱいである。この遊学を通して得た経験を忘れず、将来にいかしていきたい。


琉球大学法文学部 仲 由布子

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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