- 開館日 月曜日~金曜日
- 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
- 開館時間 9時半~12時半
年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。
今回のカンボジアの訪問にあたって、ぜひとも訪れたい場所が3つありました。それは、カンボジア大学、未来の光孤児院、JICA(国際協力機構)でした。
カンボジア大学では、実際に自分の勉強してきた分野に関連して、経済学の授業に参加させてもらいました。学部4年生のレベルらしく、授業の内容も中身のあるもので、経済学の中でも、途上国の発展について、経済学の知見からの講義で、大変興味深い内容でした。授業を行っていた先生自身も、日本に留学した経験があるそうで、日本とのつながりが本当に強い大学だと感じました。そして、各教室や、図書館、その他の施設見学を通じて、カンボジア大学の設備が、日本やアメリカといった先進国の高等機関と遜色ないものだと強く実感しました。さらには、学生が積極的に先生から学ぶ姿が、私の心に強く残りました。
未来の光孤児院では、子供たちの授業風景や、クメールの伝統舞踊に触れる機会がありました。また、私に施設の紹介をしてくれた方は、施設を卒業した大学生で、英語が大変堪能でした。施設がいかにカンボジア社会に貢献し、優れた人材育成に携わっているか、感じ取れました。ちなみに、連れて行ってくれたバイクタクシーのお兄さんも、孤児院の見学ができて良かったと感激しているようでした。また、現地の子供たちに、持参した鉛筆等を寄付しました。子供たちの笑顔はとてもまぶしかったです。
それから、プノンペンにあるJICAの事務所に数日通い、カンボジアでの日本の国際協力について学びました。特に、農業分野について、灌漑管理プロジェクト、農薬などの農業資材の管理能力を高めるプロジェクト等について、学びました。また、JICAの事務所には、日本に留学したいカンボジアの大学生や、日本やJICAの情報収集に努める現地の高校教師が隣の州から来ていたりと、その認知度の高さを感じました。私は農業分野に強い関心がありましたが、農業の発展のためにも、国内のインフラ整備がいかに重要かという説明を受け、プノンペン以外の地方の様子を見てみたいという気持ちになりました。
その後、私は、プノンペンを発ちました。シェムリアップやシアヌークビル近辺では、農業に携わる女性を多く見ました。シェムリアップでは、3日間自転車をレンタルして、トンレサップ湖での水上生活の様子や、近郊の農業の様子、地元の人々の生活等を至近距離で見れるようにしました。この試みは、大きな成功で、現地の人々とこれまで以上に近い距離で接することができたと思いました。例えば、道行く私に、子供たちが、「Hello」と手を振ってきたり、自転車のかごが外れた時は、地元のおばあさんとお孫さんが直してくれるなど、心あたたまる場面に遭遇しました。
田植えをしている人々もいるすぐそばで、稲刈りをしているグループもいたりと、カンボジアの農業と日本の農業の違いを感じました。また、牛が土地を耕す様子や、道路を大群で横断する様子を見ることができ、カンボジアの農業の姿が目に焼き付けられました。カンボジア遊学を通じて、カンボジア人、特に女性のたくましさには、心を打たれました。2000リエル札に描かれている女性たちの姿が、まさに、それを物語っていると思います。
それから、今回の滞在を通じて感じたことは、教育の重要性でした。カンボジアでは、トゥクトゥクという乗り物が、観光客や地元の人の足として広く使用されていますが、このトゥクトゥクの運転手の中には、英語が大変堪能で、前職が、学校の先生だった人もいます。カンボジアでは、学校の先生等、公務員の給料が安く、現在は公務員でも、転職希望の強い人が多くいたことに驚きました。将来国を支えていく子供たちに十分な教育を行うには、学校等の施設等も必要だけれども、先生方の処遇の面でも対策が必要だと考えさせられました。そして、農村では、学校には通ってはおらず、牛の世話をしたり、魚をとったりと、家計を助けている子供たちを見かけました。私は、日本で何不自由なく教育を受けてこられてきたことに感謝の気持ちでいっぱいになった一方で、人々を貧困から救出する上で、教育の果たす役割は大きく、この分野での国際協力の在り方について、議論していくことの重要性を感じました。
他方、カンボジアの世界に誇る遺跡などの観光資源を訪れ、楽しみました。私は、幸いにも、オリエンテーションの際に亀川さんから説明を受けた、プレア・ヴィヒアに行く機会に恵まれました。滞在していたゲストハウスで、人数を募って、ミニバンを手配して、出かけてきました。
現地は、話に聞いていたほどの緊張状態ではなく、私たち以外の観光客のグループも足を運んでいました。そして、現地では、カンボジアの方々が温かく迎えてくれたのがとても心に残りました。
このように、私のカンボジアでの旅は、多くの人との出会いで始まり、終わりました。以前よりカンボジアという国がだいぶ近くに感じられるようになったのは、このチャンスをくださった在福岡カンボジア王国名誉領事館の皆様、そして、カンボジアで出会った、現地の人々や、旅先で出会い、情報等を共有してくれた観光客の皆さんのおかげです。今後もカンボジアに強い関心を寄せ続け、草の根レベルでの二カ国の橋渡しとして活動していきたいと思います。
最後になりましたが、在福岡カンボジア王国名誉領事館の皆様には、深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
了
九州大学大学院生物資源環境科学府 森麻利子