半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第5期】「カンボジアの良さを活かした未来

 三週間の旅で私が感じたこと。それは日本人とのつながり、格差、そしてカンボジアの魅力です。私は貧困解決を目指す様々な取り組みを知るため、「雇用」をテーマに、経済発展の著しい都市部、遺跡の集まる観光地、リゾート地など、カンボジアのいくつかの地域を回りました。

 カンボジアの貧困解決に大きな役割を果たしているものに、まずNGOが挙げられます。カンボジアには政府に登録されている団体だけでも二千弱あり、NGO大国と呼ばれるほど数多くのNGOが活動していると知り、NGOが果たす役割を知るために私は職業訓練を行うNGOを主に訪問しました。①ホテルやレストランなどのホスピタリティー面でのスキルを身につけさせるNGO、②ハンディクラフト製作を通して、もの作りのスキル習得を目指すNGO、③貧しい家庭に食糧の支援を行うNGOなど、様々ありました。これらのNGOを訪問する中で私が驚いたのは、色々なところで日本人が関わっているということでした。バッタンバンにある「開発のための仏教(BFD)」というNGOでは、職業訓練所運営に堀本崇さんという日本人が尽力されていらっしゃったこと、そして今は亡き彼の志が今でも職業訓練を行う女性たちの中に生き続けていることが印象的でした。またシェムリアップでアンコール遺跡観光客向けのお土産品製作会社を立ち上げられた小島幸子さんが活躍されていることが印象的でした。シェムリアップの方々に雇用を生み出すと共に、彼らの中には、世界に通用する質の高いお土産作りのスキルやホスピタリティー精神が根付いていることをはっきりと感じました。

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 著しい経済発展を遂げる都市部では道路が整備され、高いビルが立ち並び、車やバイクが走り、日本にもあるようなショッピングモールがありました。若い人達はおしゃれを楽しみ、ナイトクラブを楽しんでいる一方、その街の片隅にはスラム街が広がっていました。大学に通う学生たちは懸命に勉学に励み、将来に希望を抱く。少し田舎に行くと、赤土の道沿いに住所も整備されていない藁の屋根の家々が並び、子どもたちが笑いながら犬と駆け回って遊んでいて、田舎の良さが見えました。

 三週間の旅の中で私の心に突き刺さった出来事が二つありました。
 一つ目は格差を痛切に感じた出来事、BFDの活動に参加させて頂いた時のことです。その日私は、BFDの貧しい家族への食糧支援に同行させて頂きました。話を聴いていると、その一家には娘が2人いて、長女は8歳で、小学校2年目に退学したとのことでした。理由を尋ねると、カンボジアの小学校は義務教育で授業料は無料だけれども、制服を買うお金がなかった為に、学校に通うことができなくなったとのことでした。その女の子は1年生の時に学校で習ったダンスを嬉しそうに披露してくれる一方、学校に通って文字を読めるようになりたい。そして将来はレストランを開きたいと、キラキラした目で語ってくれました。

kawahara_02.jpg  二つ目はカンボジアの人の魅力を感じた出来事。カンポットという町へのツアーで現地のガイドさんと話した時のことです。カンポットでは、これからの10年で都市開発を進めるという計画が進行しているそうなのですが、ガイドさんを含めた現地の人と話をしていると、都市開発を望まないという声をたくさん聞きました。カンポットは私が訪れた街の中で、穏やかな人が多い印象を受けました。整備された道を少し抜けると、砂埃が舞う赤土がむき出しの地域に入り、赤土の道沿いに藁の屋根の家々が立ち並んでいました。そんな地域の中に、藁の屋根の小屋で女性が出す数種類のドリンクに、近所の子どもからおじいちゃんまで皆が集い語らう、カフェのようなコミュニティスペースがありました。彼らは、インフラも未整備で決して経済的に豊かとは言えないけれど幸せだから、都市開発でこの環境を壊してほしくはないと話してくれました。

 私は三週間のカンボジアの旅を通して、都市部の活気には圧倒され、未開発の田舎の地域には人の温かみとコミュニティーの繋がりの強さを感じさせられました。よく「都市部と農村部では格差がある。だから農村部を開発しないといけない」といった話を聞きますが、私はカンボジアの田舎の人々が元々持っているこの良さを失わせる開発はすべきではないと思いました。貧困はなくすべきだけれど、今カンボジアが持っている良さを消すのではなく、残したり活かしたりしてこそ、より豊かな生活を作っていけるのだと思います。私はこれからカンボジアが持つ魅力を生かして、カンボジアの人々がより良い生活を得られるように貢献していきたいと思っています。


福岡大学人文学部 川原詩織

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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