半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第6期】カンボジア遊学を通して

 私は、この旅を通してカンボジアの防災について学び、様々な人と交流することができた。まず、私は正井潔さんとお会いした。JPRというNPO法人で、救急・救助に関する指導等を中心にカンボジアで活動されている方だ。正井さんとは、カンボジアの救急事情をはじめ、幅広い分野の話をすることができた。

 カンボジアの消防・救急業務は、主に国が主導しているものの機能していないのが実情だ。そこでカンボジア軍の中に消防・救急に特化した部隊を作りたいということで指導者として正井さんに声がかかったという。カンボジアの都市部では、車やバイク等が多く通行しているが信号無視や無茶な割り込み、逆走などが日常茶飯事で、交通事故が起こるリスクは、日本に比べ何倍も高い。また、ヘルメットを着用していない人も多く、事故が起これば大事に至るケースが多い。今までは交通事故が起これば、病院が出した救急車がかけつけるものの、高額な医療費などを請求し、お金を持っていない人は搬送しないというのが普通であったそうだ。そんな中、正井さんの率いる隊は、適切・迅速な応急処置をしたうえに、無償で病院まで傷病者を搬送する。日本では、あたりまえのことだがカンボジアでは画期的なことだ。

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 火災については、建物の特徴が日本と違うので災害に対する戦術が日本と異なる。正井さんが経験したこと、JPRの会員の方々が経験したことを元に、部隊に対し指導・訓練が行われている。最近では避難訓練や救命講習も行っているという。カンボジアが発展しているのは、経済面だけでなく防災面でも成長しているのだと感じた。また、異国での救急システムの構築や人材育成の難しさについての話なども聞いた。


 話の中で、国の成長や発展における防災の重要性を改めて感じた。防災という分野は、投資しても利益が生まれるわけではないが、今後生まれる利益や人材を守るという意味で成長の基礎となり大切だと思う。社会の安全・安心を守るためには欠かせないものだ。正井さんが言うひとつひとつの言葉、カンボジアの人と同じ目線で物事を考えようとする姿勢が印象に残っている。私自身、正井さんの熱い思いと明るい人柄に魅力を感じた。そして、それがカンボジアの人たちにも伝わっているからこそ、カンボジアでの活動が成功したのだと思う。正井さんは、先日カンボジアの首相から最高位の勲章を授与された。今後は、カンボジアに消防学校を作り、人材育成のシステムを作ることが夢だという。

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  帰国前には未来の光孤児院を訪れた。今までの孤児院のイメージとはかけ離れた施設と制度がそこにはあった。何台も並べられたパソコンや常時開放されている図書館、整った教育施設や制度、伝統舞踊を学ぶ機会や海外へ行く機会等、カンボジアの現状からは想像もつかないほど可能性に満ちた環境で子供たちが生活している。高校生程度になると、英語も流暢に話すことができ、成績の優秀な人は援助を受けて大学進学も可能だという。私は、改めて教育の重要性と可能性を感じた。また、伝統舞踊の練習風景を見学させてもらい、演者の子たちと話すこともできた。本当にきらきらとした笑顔で私を迎え入れてくれて、楽しい時間を過ごすことができた。施設職員の人とは、カンボジアの実情について話をした。彼も教育の必要性を感じていた。しかし、とくに農村部では、日々の生活の為に幼いころから働き、満足な教育を受けることが出来ないという。また、虐殺により多くの文化人が亡くなったこともあり教育者も不足しているそうだ。充実した教育を受けている子供たちがいる一方で、依然として教育環境が整わない子供たちも多い。発展へ向け目まぐるしい変化を遂げているものの、まだまだカンボジアの発展には課題が山積みだ。

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  正井さんや孤児院の職員の人と話をして、支援のあり方についても考えた。今まで日本は、カンボジアに対して多大な支援を行ってきた。それは、金銭的支援やインフラ整備など多岐にわたる。カンボジアの発展において、これらの支援はもちろん重要だ。しかし、これからはカンボジアの人たちが自分たちで国を発展させていくために、人材育成がより重要になってくると思う。そのためにまずは、支援する側と支援される側の交流、そして信頼関係を築くことが大切だと感じた。


 このほかにも、観光地など様々な場所に行った。行った先々で、数えきれない人から助けてもらい、交流することができた。彼らの笑顔や温かさが印象に残っている。この遊学を通して、本やテレビだけのカンボジアでなく、本当のカンボジアに触れることができた。もちろん私が見たカンボジアは、ほんの一部でしかない。しかし、この企画のおかげで、ただの旅行では得ることのできない体験をさせてもらった。この旅をきっかけに出会った人たち、カンボジアの人たちへ感謝し、今後より良い関係を築いていきたい。




福岡市消防局 龍 陽介

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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