半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第6期】輝く子どもたちの未来

 「カンボジアの美術と教育の実際を知る」。そのために私はカンボジアのプノンペン、シェムリアップ、バッタンバンの3都市を19日間に亘って遊学した。

 まず、教育を知るために3都市それぞれの学校と孤児院を訪れた。バッタンバンの小学校の教室には様々なカラー掲示物があり、運動場には怪しい色のお菓子や飲み物が売られていて、子どもたちはみなそれを飲食していた。シェムリアップの田舎の中学校では、1学年にクラスは1つで、先生は2人だけだった。進学率は1%なのに皆元気に学校に通っていた。プノンペンにはたくさんのインターナショナルスクールやイングリッシュスクールがあり、子どもたちは英語を第2言語として流暢に話していた。

プノンペン大学にはCJCC(日本人材開発センター)が併設しており、日本企業などに就職できるような教育がされていた。学校が休みでも、生徒たちは学校に来て友達とグループセッションをしたり、勉強をしたりしていた。2つの大学に通う生徒も多かった。このように、カンボジアでは同じ国でも一方では高校進学率1%、一方では高レベルの教育が行われているといった大きな差があることが分かった。この教育格差の原因は地域格差や所得格差にあるとカンボジアの友人は言った。はじめ私は、こういった格差があるので今のカンボジアには美術をする余裕なんかないと言われると思っていたし、自分もそう思ってしまうのではないかと思っていた。

6_4_01.jpeg

 しかし、カンボジアの美術館、博物館と子どもたちとの出会いがその考えを一転させた。3都市すべての美術館、博物館に行ったが、どこの都市でも私が一番驚いた展示品は遺跡の装飾だった。それまで私は西洋美術にしか興味がなかったが、そこで初めて東洋の美術にもこんなに素晴らしい装飾作品があるのだと知り、カンボジアの美術文化の貴重さを改めて感じた。そして、この感性は今の子どもたちの中にもあった。シェムリアップのいくつかのレストランにはいくつかの団体の支援で子どもたちの描いた絵を飾っているところがあった。

6_4_02.jpeg

また、日本人女性が無料で美術教室を行っており、そこに通っている子どもたちの絵も見ることができた。バッタンバンの孤児院でも、砂場に木の棒で美しい魚の絵や細かいところまで描き込まれた銃などを描いていた。彼らの絵は本当に驚くほど素敵な絵ばかりで既にアーティストであった。普段、美術館で何らかの作品を鑑賞するとき少し難しい顔で見てしまう私が、素直な気持ちで笑顔になれる作品を子どもたちは描くことができるのだ。しかし、この子どもたちの能力を表現する場所、伸ばす場所や道具がとても少ないのだ。

6_4_03.jpeg

 プノンペンのある小学校の生徒にどうして英語を勉強しているのかと聞くと、1人は「人生は1回しかないから英語を勉強して世界を飛び回りたいから。」と言い、1人は「僕の夢は海外でビジネスをすること。英語が話せたら色んな人と会話ができるようになるでしょう」と答えてくれた。12歳にして将来の夢が広がっていて、それを叶えるために勉強していた。シェムリアップでは14歳の女の子が夏休みを使って店で懸命に働いていた。バッタンバンでは学校に通いながら孤児院で畑仕事や家事や幼い子たちの面倒を見ている少年少女たちがいた。キラキラとした瞳で毎日をまさに、生きている子どもたちを見るとカンボジアのこれからの未来を築くのがこの子どもたちなのかと思い、心が躍った。


 美術と教育の実際を知るために行ったのだが、それ以上の多くを知り、学ぶことができた。これらのことに出会った今、私は自分の生き方の見直しをするだけでなく彼らとこれからも繋がり、キラキラ輝く子どもたちの未来に携わりたいと思う。


福岡教育大学初等教育教員養成学科 西本きよら

在福岡カンボジア王国名誉領事館

  • 開館日 月曜日~金曜日
  • 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
  • 開館時間 9時半~17時半
    (※ビザの申請・発行は12時半まで)

年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。

開館時間 9:30~12:30
問い合わせフォーム