半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第6期】新発見と原点回帰

 私がこの遊学を希望したのは「国際協力の場で活動をする」というまだ曖昧な自分の将来の目標をはっきりとさせるためである。その目標に関しても、目標以外に関しても、今回の遊学は自分自身にとって「新発見と原点回帰」にあふれたものであった。

 遊学前、私が想像していたカンボジアは「途上国」や「貧しい国」というもので、あまり明るい雰囲気を想像していなかった。しかし、実際にカンボジアを訪れてみると、その考えが全く違っていたという事がわかった。街中ではバイク・車・トゥクトゥクにあふれ、大人から子どもまでほとんどの人が携帯電話やスマートフォンを持っている。街中には携帯ショップや小売店にあふれ、巨大なショッピングモールもある。そして何よりも人々が活気にあふれていたるところで声が飛び交っている。また、明るい雰囲気というのは、単に生活のなかだけではなく、様々な場面で見られた。

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かものはしプロジェクトのコミュニティーファクトリーで出会った女性は自分の仕事に誇りを持ち、また、仕事の間に識字・計算・貯蓄・食育など「生きるための勉強」を行っていた。カンボジア大学で出会った学生は、学んでいることに違いはあるが、みんなそれぞれはっきりとした自分の夢を持っていた。光の孤児院で出会った子どもたちは、素敵な笑顔で元気に遊んでいた。また、今回は休日だったため授業は行われていなかったが、普段は英語やコンピューターといったこれからの社会に必要な技能、音楽や演劇、ダンスなどの文化・情操に関わる教育を行っているということだった。


その他にも、現在、カンボジアで単身農業技術の指導を行っている岡本さんにお世話になり、多くの体験をすることができた。岡本さんが支援している農村へ訪問した際にはで出会った村の人達は家族や友人などと集まりながら、とても楽しそうに生活をしていた。岡本さんは、単に高い日本の技術を提供するだけではなくカンボジアの伝統的な技術を取り入れた農業を行っていた。また、普段の生活の中でもトゥクトゥクの運転手の人達は、仲間としゃべりながら、時にはハンモックに横になりながら「のってかない?」と笑顔で声をかけてきた。日本から考えればとてものんびりとした生活であったが、とても楽しそうに日々を過ごしている。そのように感じた。しかし、街中で物乞いを行う人やスラム街の存在等の貧富格差がその裏で確かに存在していた。こうした想像と現実とのギャップに直面できたことは、とても貴重な経験となった。

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 また、様々な発見以外にもカンボジアに存在する様々な美しい建物は私に多くの感動を与えた。アンコールワットやアンコールトム等の世界的に有名なものから街中にある寺院まで、日本の遺跡や建築物とは違った味わいを持つ建物が多く存在していた。カンボジア遊学の中で、特に印象に残っている場所はプノンペンの「トゥールスレンジェノサイド博物館」、シェムリアップの「戦争博物館」「地雷博物館」である。これらの博物館には、実際にカンボジアで起こったポル・ポト政権による大量虐殺に使われた監獄や道具、戦争の際に使われた武器や兵器、そしていまだにカンボジア国内に埋まっている地雷等の実物が展示してあり、また、それぞれの被害者の写真や当時の状況を表す写真や絵などが展示されていた。3か所のどこに行っても重たい空気が流れ、写真を見るたびに頭が重くなり、胸が痛くなった。しかし、それと同時に自分の原点がここにあるという事を思い出した。

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自分の「国際協力の現場で活動する」という将来の目標を持つきっかけとなったのは、小学生のころに修学旅行で行った長崎で見聞きした戦争についての記録だった。そのころから、「戦争をなくしたい」「平和な世界を作りたい」と思うようになり、その目標に向かって、勉強や活動をしてきた。しかし、勉強をすればするほど、活動をすればするほど目標達成の難しさを感じ、気持ちではなく、効率的・現実的な方法ばかりを考えるようになっていった。そんな状態だった自分に、目標を持ち始めた時の純粋な気持ちを思い出させてくれた。


この様な「新発見」と「原点回帰」は自分の今後に大きな影響を与えるだろうと考える。この経験を活かし、世界の中で活躍していける人間になるために、これからも努力を続けていきたいと考える。最後に、この様な機会を下さった在福岡カンボジア領事館様・西日本新聞社様、そしてカンボジア遊学でお世話になったすべての人々に心から感謝します。




九州大学21世紀プログラム 佐藤素安

在福岡カンボジア王国名誉領事館

  • 開館日 月曜日~金曜日
  • 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
  • 開館時間 9時半~17時半
    (※ビザの申請・発行は12時半まで)

年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。

開館時間 9:30~12:30
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