半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第7期】カンボジアの教育現場を体験

 私はカンボジアで3週間過ごす中で、多くの人に出会い、交流しその人たちの志を知り、たくさんのことを学んだ。  教育の現場を知り、教員となるために「教えること」を学んでいる私にできることはどういったことなのか。それを考え、具体化することが私の今回の目的であった。そのため、公立の小学校を二校、NGOにより運営されている学校を一校、ワット学校を一校、また大学も訪問させていただいた。

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 シェムリアップで訪問したワット・ボー小学校では教育実習のような形で、授業をする立場を経験させてもらった。その体験の中で、教師は午前中の学校が終わると児童とともに入れ替わり、毎日アルバイトへ行かねばならないことや、この学校は比較的裕福な学校であったが、それでも図書館など一部の施設は寄付金で建てられていることを知った。私の参加したクラスの先生は、作曲とそれに合わせた創作ダンスも教えていた。カンボジアでは、情操教育が一般的でない。音楽を教えられるということは、それだけでとても特別な存在である。彼女は児童たちの歌と踊りの完成のため、他の子どもに音楽を教えるためにできれば午後も教えたいという話をしていたし、彼女に教えてもらえるチャンスのない子どもたちの中でも、彼女の授業を受けたいという子も多くいた。授業を受けたくても半日しか受けられない子供たちと、学校の仕事に集中するには限りがある教師といったことものが見えた。

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 別の日に訪れたカンボジア日本友好学園では、普段の学校風景は観ることができなかったものの、創設者のコン・ボーン氏や一部の生徒に会うことができた。この学校では、教員が学校での授業に力を注ぐことができるようにするために、生活するために十分な給料を支払っていたり、貧しい家庭の子供達に奨学金を提供したりすることで、生徒に質の高い教育を提供している。コン・ボーン氏と話す中で、彼はよく「子どもたちのために」とおっしゃっていた。自ら過酷な時代の経験から次世代を担う子どもたちのへの教育の必要性を深く感じたと語っていた彼の言葉の節々から、母国の発展のために自分ができることはなんでもやるといった志を感じた。また、子どもたちも、その志を感じ取り、出会った生徒に夢を尋ねると、医者や、教員など人々のために何ができるかということを考えている子供達がほとんどであった。このように子どもたちの教育に尽力する方々の思いが継承されていく中で、子どもたちの未来はどんどん明るくなっていくと思った。

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 また、バッタンバンにあるノリア孤児院を訪問させていただく機会もあった。子どもたちは、本当に明るく迎えてくれて、来た人を「ブラザー!」「シスター!」といって、一気に近寄ってきてくれた。全く悲観的な様子も見せずにむしろこちらが元気をもらった。ここでは子どもたちが協力し、支え合いながら生活していた。子どもたちは日本の方々の支援を中心に多くのことを学んでいた。そして吸収するのがとてもはやく、たまたま見せていただいた子どもたちの美術学習の発表会でも子どもたちの想像溢れる、豊かな素晴らしい作品が紹介されていた。それらの絵を描く感性や、遊ぶ道具も自分で創る子どもたちの想像力は本当に素敵だった。共に生活する中で、毎日を必死に生き抜く子どもたちはとても輝いて見えた。

 他に訪れたNGOの学校では、生徒たちは全員英語を話し、コンピュータを組み立てたり、グループでプロジェクトを行ったりと他の学校とは全く違う、アメリカの学校のクラスのようだった。一方、ワット学校は僧侶の方が一人で子どもの僧侶たちに教育をしていた。しかし、教材も本も非常に乏しく、子どもたちは床下のようなところで勉強していた。
訪れた学校それぞれに特徴があったが、変わらないことは子どもたちがとても真剣な様子で勉強しており、彼らの目は輝いていたということ。また、学校で、教えている先生たちは立場がどうであれ、子どもたちやカンボジアの未来が少しでもよくなるようにと毎日本気で子どもたちと向き合っているということである。カンボジアでは、生徒や児童が教師に手を合わせることがしばしばあるが、私に対し教師への感謝を心から述べている子どもたちの姿を見て、それは単に文化というだけではなく、教師の思いを感じた上での行為なのではないかと感じさせられた。

多くの国の方が支援しているカンボジアでは様々な教育方法があり、その中で教員は日本だけでなく他の国の特徴を持つ教育方法も学べるという可能性を感じた。学校が足りない現状もあるようだが、今ある学校も経営していくのに必死な状態だと改めて感じた。学校と地域はとても深いつながりがある。特に私が訪れた学校では、地域の方々がそこに自分たちの子どもが通える学校が出来たことについてとても感謝していた。だが、支援がいつなくなるかはわからない。突然支援がなくなり、地域の方たちの希望もなくなってしまったところもある。学校とは、その一帯の人々に大きく関係するものであり、そこへの支援はその地域の未来をも変えていく。継続して支援を行っていくことの大変さと重みを感じた。

 これらの他にもお世話になったドライバーとその仲間の方々に、彼らの生活の現状とこれからについて話したり、市場で知り合った方に市場での売り方や普段の生活のことについてリアルな話を聴いたりすることができカンボジアについて様々な観点から観ることが出来た。
 今の私がカンボジアの教育について支援できることがあるとすれば、それはカンボジアの現状と自分が体験し、感じたことを伝えていくことだ。私自身その地に行ってみて改めて感じる日本とのギャップなど様々あったが、その地で必死にだが明るく生きている人たちは皆とても魅力的であった。そして、発信することにより少しでも支援の輪が広がっていけばと思う。これからも出会った人たちの発信する情報や、自分も教員としての学びを深め、彼らに再会できる日が少しでも早くなればと思う。

 最後にカンボジアで、私がとても貴重な3週間を過ごすことができたのは、在福岡名誉領事館の方々をはじめに、たくさんの方々のおかげです。心より感謝申し上げます。


福岡教育大学初等教育教員養成課程 梶谷晶也

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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