半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第7期】カンボジアの医療の現状を知る

 この度は「カンボジアの医療の現状を知る」というテーマのもと、アンコール遺跡群やシアヌークビルへの旅行の他にプノンペンやシェムリアップで3つの施設を見学させて頂きました。

1、シアヌーク病院 (Sihanouk Hospital Center of Hope)
 ここはワールドメイトの支援により貧しい患者さんを対象に無料で治療を行っているところです。外来受付にはたくさんの患者さんが座っており、ここに医師が来て症状の重篤さに応じて治療の優先順位を判断します。軽症等は看護師による治療が行われます。カンボジアの地方には病院までの交通費すら出せない人も多く、ここにたどり着けること自体が幸運なことのようです。また案内してくださった職員の方の話によると以前は貧しい来院者に食事などを提供することもできていたものの持続的に十分な支援を受けるのは難しく、有料のクリニックを市内に別に開設して資金調達に充てるなどしているが、なお費用が足りていないとのことでした。
 病院内は日本の施設を見慣れている私からすると、衛生的に大丈夫なのかと思う部分が多々ありました。日本との違いとしては診療科のInfectious Disease Departmentで結核やAIDSの患者の診断・治療を行われており、これらの病気がまだ現実としてあることを痛感しました。また薬剤師の処方する薬の袋には文字を読むことができない人もいるために文字が書かれておらず(日の出や日の入りの絵が描いてありました)、まだ貧しい人が多いことが見て取れました。

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2、未来の光孤児院 (FLOW)
 ここに来るのは両親を失ってしまった、もしくは両親がとても貧しく自分達を養えないといった事情を持つ子供たちです。小学生から高校生まで様々な子がいましたが、この子たちから共通して感じられるのはとても明るく前向きなことでした。純粋で、常に笑顔です。みな仲良くしていて、お互いのことを気遣っているようにも見えました。彼らは外国から突然やってきた見ず知らずの私達のことをすぐに受け入れてくれ、出会って数分後には一緒に外で遊んでいました。ここの子供達は公立学校での教育に加え、英語やパソコンの授業もしっかりと受けていて、孤児院でのお手伝いも嫌がることなくこなします。将来は自立して、カンボジアの将来を担う優秀な人材になるのでしょう。

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3、アンコール小児病院 (Angkor Hospital for Children )
ここもシアヌーク病院と同様に、複数のNGO等から支援をもとに貧しい家庭の子供に無料で治療を行っています。救える子供を一人でも多く増やして未来へ繋ぐのがこの病院の役割であり、また同時に高度な専門性の要求される小児医療を現地の医師に教育するという任務もあります。こちらもたくさんの患者で溢れていて明らかにベッドは足りていないようで、症状の重篤さに応じて治療の優先度をつけているとのことでした。FLOWで目の当たりにした子供たちの明るく元気な姿とは打って変わって、ここでは母親に抱えられて苦しそうにしている裸の男の子、廊下のベンチのようなところに横になってぐったりしている少年がいます。彼らの間にある差とはいったい何なのでしょう。苦しそうな子供がたくさん診察を待っているのを見るのは心が痛みましたし、ここにたどり着くことすらできない若い命もあると思うと耐え難いです。

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【カンボジアの医療、未来】
 シアヌーク病院とアンコール小児病院を訪問して共通して感じたのは、救える命を救うという医療機関の使命に加え、カンボジアの医療を担う人材育成に非常に力を入れているということでした。海外からボランティアを受け入れて医療活動を手伝ってもらったとしても、彼らに帰国後に残るものは何もありません。つまり、現地で求められているのは「カンボジア医療の将来の担い手を育てられる人」です。医療従事者だけでなく病院経営のマネジメントの専門家など幅広い分野においてボランティアを募集していました。しかし応募した人を誰でも受け入れるというわけではない、とシアヌーク病院の方はおっしゃっていた。カンボジアの医療状況はたくさんの支援や尽力により改善しつつあります。シアヌーク病院やアンコール小児病院でみられる、このような動きを日本中、世界中のもっと多くの人に知ってもらい、実際に現地を訪れてもらうことが何よりもこの国の将来にとって大切です。今、カンボジアを訪れる観光客の大半はアンコール遺跡群やシアヌークビルなど有名な観光地への訪問にとどまっているように思います。アンコールワットにはたくさんの日本人観光客がいるのに、カンボジア現地で働く日本人がほとんど見られないのは残念なことです。
 貧困は衛生状況の悪化などから病気を生み、病気はさらなる貧困へとその人を追い込みます。カンボジアの医療を支えて、この悪循環を断つことができれば必ず明るい未来は見えてきます。素晴らしい文化と歴史を持つカンボジア、そしてここに住むたくさんの前向きで心の温かい人々のために何ができるかを私自身これからも模索していこうと思います。これまで漠然としたイメージしかなかった発展途上国の医療というものを実際に肌で感じることができ、またその将来について考えることができ非常に有意義な遊学になりました。

 最後に、このような貴重な機会を与えて下さった半田晴久名誉領事および名誉領事館の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。


九州大学医学部 園田匡史


在福岡カンボジア王国名誉領事館

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