半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第7期】カンボジアでの村の暮らしと教育を見て

 私は、カンボジアでの農村の暮らしを見たいと思い、カンボジアで単身農業指導をしている岡本さんのご指導のもと、プノンペンの郊外にあるピムポピッチ村で農業ホームステイを体験した。まず、プノンペンから、村へ行く事も大変一苦労で、乗り合いバスと、川を渡る船とを乗り継いで村に向かった。

ピムポピッチ村では、稲の栽培が盛んであり、村に着くと人々が手作業で茣蓙を織っている姿が目に入った。聞くと、茣蓙の材料の縦糸から作る作業まで全て手作りであり、それは全て非常に手間の掛かる作業ばかりであった。また、茣蓙一つでも、各家庭により茣蓙の柄から何まで違っており、各家庭の技術が茣蓙に表れるという。私が何より驚いた事は、とても苦労かけて織った茣蓙の値段が、約700~800円で売られているという事だ。日本では、手織りの茣蓙は、約4,000円で売られるというのだから、それを聞いて私は大きな衝撃を受けた。

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また、ピムポピッチ村には水道は通っておらず、水を使う場合には、全て雨水を利用する。各家庭には、政府から給付された大きな水瓶がそれぞれ設置してあり、そこから水を汲んで、体を洗ったり、飲み水に使ったりしていた。料理の際も、ガスは通っていないので、釜戸で薪に火をつけて料理をしていた。雨が降らない乾季には、水の利用はどのようにしているのかと尋ねると、川の水を使って生活していると答えた。実際、小さな船にのって、川で洗濯をしている人を見かけたが、川の水は茶色く濁っていて、決して綺麗と言えるものではなかった。

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また、村ではクッさん宅にお世話になった。クッさん宅は、現在、お父さん、お母さん、長男、長女の娘さん家族が暮らしていた。カンボジアの村にある家は、どこも高床式で、ハンモックが中に掛かっていた。トイレは、3年前までは村に一つもなく、今、やっとトイレがある家が三軒になったそうだ。クッさん宅には、テレビが一つあったが、村にテレビがある家は、ピムポピッチ村では三軒しかなく、ご近所の子供達が、テレビを見に大勢クッさん宅にやってくる。近所の人も、一緒に食卓を囲んで食べたりする。もう、村全体が家族のようで、温かさを感じた。

クッさん宅で出されるご飯には、カンボジアでよく目にする、ココナッツ風味のスープカレーや、畑でとれた野菜と牛肉のサラダ、そしてすぐ横を流れる川でとれる沢山の魚を使った料理などがあった。カンボジアでは、おかずに沢山のお米を食べるのが一般的で、中央におかずをおいて、それをみんなで囲んで、お米と一緒に食べる。みんな無言で黙々とご飯を食べるのがなんだか新鮮だった。

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村ではトマト、大豆、ゴマの播種を5日間かけて行った。多くの子供達が一生懸命作業を手伝う姿がとても印象的であった。子供達は、何をするのにもとても楽しそうで、蛙や蛇をつかまえては、私のもとに持ってきたり、畑を走り回ったりしていた。
最終日には、子供達へ、お礼のお小遣いと、ノートとペンを配った。子供達は、両手を合わせて、礼をして、嬉しそうに受け取ってくれた。
  村での暮らしで感じた事は、公衆衛生や、生活基盤がまだまだ整っていないという事だ。プノンペンや、シェムリアップなどと都市部にいる時には感じられなかったことを村で気づいた。少しでも早く、それらを改善する必要があると感じた。

プノンペンでは、日本に留学していたサマディーの家にお世話になった。サマディーに連れられて市場に行くと、沢山の果物や肉、野菜、魚が並んでおり、日本では決して見られないような光景を見た。カンボジアの市場はどこも活気があって、見るだけでとてもワクワクした。市場にある大衆食堂で食べたものや、買って歩きながら食べたフルーツ、家での手料理、全てが美味しかった。
また、プノンペンにある未来の光孤児院、カンボジア大学を訪問した。未来の孤児院を訪れた時、孤児院の子供達自ら私にハローと声をかけてくれて、とても明るい笑顔を見せてくれた。授業内容としては、特に英語教育に力を入れていた事が非常に印象的で、その他にも、パソコンでのWord、Excel、また音楽や美術などの授業も行われていた。孤児院では、ただ過ごすだけでなく、卒業後に、きちんとした職に就けるような教育を目標としていた。孤児院は非常に清潔で、沢山の施設があり、中でも図書館には、授業休みの多くの子供達が勉強に取り組んでいた。カンボジア大学では、学生達が非常に熱心に授業を受けている姿がとても印象的であった。

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カンボジアを訪れる前では、カンボジアは発展途上国、貧しい国といったイメージがあったが、実際にカンボジアを訪れてみると、そのイメージはすぐに払拭された。カンボジアの人々はみんな陽気で、ゆったりとした性質であり、ニコニコしながら、話しかけてくれる。街は、バイク、自転車、トゥクトゥク、車で埋め尽くされている。ピムポピッチ村の人も、みんな楽しそうに生きている。だが、まだまだ都市部と、地域の発展の差は大きく、決して今の現状に満足はできないと思ったし、また、これらを生み出しているものはなんだろうと考えさせられた。
今回の遊学では、農業と教育の実態を知るために、カンボジアを訪れたのだが、それ以上のものを得ることが出来、貴重な経験をすることができた。また、途上国支援において、何かをしようとするのではなく、現地の方々が何を必要としているのかをきちんと理解し、それに対してどのようにして寄り添っていくのかが重要であると考えた。

最後に、このような素晴らしい機会を与えて下さった、在福岡カンボジア領事館様、西日本新聞社様、そしてカンボジア遊学でお世話になった全ての皆様に、心から感謝申し上げます。


九州大学農学部 安部日向子

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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