半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第9期】カンボジアの教育について

 今回、私は教育分野に重きを置き、プノンペンを中心に孤児院、日本語学校やNGOの運営するスクールなど約10カ所の教育機関を訪問した。これらの中で、子どもたちなど多くの人に話を聞き、カンボジアの現状を知るとともに、これからの教育の発展の可能性を探ることが出来た。

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 カンボジアは近年確実に発展してきている。学校に通う機会やそれに伴う外国語を話せる 人材なども一世代前に比べたら増加傾向にあると考えられる。しかしながら、問題も多く残っている。

例えば、教師に関して言えば、彼らは十分な給料をもらっておらず、生徒への 対応が雑になってしまっている。中には、ドラッグに手を染める子どもたちがいても、無視し、まったく対応しようとしない教師もいるという。

 また、給料の観点からはエクストラクラスの問題が考えられる。カンボジアには、エクストラクラスという名の塾がある。学校の教師が、教師としての給料だけでは足りないということから放課後に有料のクラスを開いている。学校の授業とは異なり、そこでは給料を手にすることが出来るため、テストに関する情報などを提供するなど、学校内の授業よりも力を入れている。ここで考えられるのが、金銭により公平さが保たれなくなっていることだ。お金に余裕のある家庭の子どもはエクストラクラスに入れるが、そうではない子供たちは入れないことにより、不利益を被ることになる。こうした不公平が生まれないためにも、教師に対する給料の部分や塾のシステムとして学校関係者ではなく、第三者が務めるというようなことが考えられなければならない。

 よく学校に行けない子供たちのことが言われるが、彼らの学校に通えない原因のひとつとして、文房具やテスト用紙のコピー代などの費用が払えないというモノがある。小学校から高校まで授業料は無料のため、学校に行く機会はある。しかし、勉強に必要なものが実費となってしまうため、学校に通えないというのはあまりにも残念だ。みな、教育に関わることのできるチャンスを手にしていながらも、それを失ってしまう。こうしたことが改善されるだけでも救われる子どもたちは多くいるのではないか。

 これらのカンボジアの教育においての問題点や改善点を発見したとともに、オンライン教育などといった新しい教育についての可能性も得られた。カンボジアでは、高校卒業の時点で高校卒業試験というものが行われる。この卒業試験の結果により、大学の奨学金の額も変わってくるため、非常に重要なものと考えられる。

 以前までは、カンニングや賄賂がまかり通っていた時代もあったが、近年ではそれも出来ないようになっている。ここでその成績に大きく関わってくるのが塾(エクストラクラス)の存在だ。この塾に通っているかどうかで試験の成績も大きく変わってくると考えられる。また、これが大学進学にも影響をもたらすことを考えれば、彼らの人生にも少なからず関わってくることは否めない。そのため、新たな教育の形が彼らの助けになるのではないかと考えられる。お金がなくても、エクストラクラスと同等、またはそれ以上のものを提供できれば、実質上、金銭による格差を埋めることが出来ると同時に、彼らの将来の人生をアシストすることになりえると思われる。

 話を聞く中で、教師のクオリティーや実際に設備の面を考えた際に、カンボジアではそのような新しい教育は有効的でないという声もあった。しかし、もしも、こうした教育が形となれば、エクストラクラス含め教師の給料の問題など改めて目が向けられ、教育分野にとどまらず、社会全体の変化、そして改善されるきっかけになっていくのではないか。

 カンボジアの教育現場を目にするとともに、私はあることに気が付いた。それは、学校に通う子どもたち孤児院の子どもたちに一番自分にとって大事なことはと問うたところ、みな口をそろえて教育を受けること、また学ぶことと回答し、そう答える彼らの目がキラキラ光っていたことだ。彼らは学べることの喜びを知っているし、その分、勉学に取り組む姿勢もとても素晴らしかった。規律を重んじ、その勤勉な態度は日本人を超えるほどのものではないかと思ったほどだ。こうした彼らの姿はこれから将来、必ずポジティブに働き、カンボジアの国にも良い影響をもたらすだろうと私は強く感じた。

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今回、私は約1か月間しかカンボジアを見ていないため、私が見たり、感じたりしたことはほんの一部なのかもしれないし、この1か月で何かを子どもたちに特別に与えられたわけではないかもしれない。むしろ、この期間というのは、私にとって世界の現状を知るという意味でも、普段の私たちの生活と比較し、様々な点を顧みることで、当たり前とされるようなことの大事さを感じることが出来たという意味でも本当に大きな経験を子どもたちや彼らを支える人たちが私に与えてくれた。次は、より長い期間で、より長い時間を彼らと過ごし、今度は私自身がなにかを彼らに与え、多くのものを見て感じたいと思う。

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 最後に、今回の渡航、現地での活動に関わってくださったすべての方々に感謝したいと思います。本当にありがとうございました。


長崎大学多文化社会学部2年 中島大樹

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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