半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第9期】カンボジアの住環境と住宅事情

 今回の遊学体験は、発展途上にあるカンボジアの住環境や住宅事情について調査し、カンボジアの現状を知るというテーマで行った。

(1)カンボジア大学(University of Cambodia) プノンペン市内にあるカンボジア大学では、インタビューという形で学生の生活を調査した。内容としては
1,都会出身か田舎出身か?
2,家族と暮らしているのか一人暮らしなのか?
3,部屋の広さは?
4,家具の種類は?
5,不便さは?
6,欲しいもの必要な物は?
7,窓の有無
8,住居と住居が近いことについて思うことは?
9,プライベートの過ごし方は?
image9_4_1.jpeg の9 個の質問を男子学生3名、女子学生3名対象に行った。8番目の質問についてだが、プノンペンや比較的大きな都市では建物と建物の間隔がとても狭いのだ。日本のように住宅地、商業地と分けられておらず都市中心部においてもホテルやアパート、レストラン、大衆屋台、商店が乱立している。ホテルの窓やレストランのテラスから横の家が丸見えになり、住居同士が覗ける状態となっている。

 私が宿泊していたゲストハウスやホテルでも同様に窓を開けると隣の建物の窓がある状態だった。このことについてどう思っているのか、実際に弊害はないのかとても気になっていた。インタビューの結果としては、都会出身の学生は家族と同居し、田舎出身の学生 は単身または兄弟で暮らす傾向となり、6 名中5 名が部屋の広さや家具などの設備には問題がないと回答し、持っている家具についても十分に揃っていると感じた。しかし問題として、どの学生もやはり建物が近いことによる外からの視線や防犯面、窓が付いているにも関わらず風通しが悪いなどが挙げられた。さらに驚いたことに、これも建物が近いことが原因だが日差しがなかなか入ってこないということだった。建物が近いということは想像以上に多くの弊害を生むことを実感した。また住宅環境として不便さはないとの結果は出たが、生活においての快適さを感じることはできなかった。

(2)未来の光孤児院(Future Light Orphanage)

image9_4_2.jpeg 日本とカンボジアでは孤児院という施設の役割が大きく違うように感じた。孤児院というと親のいない子たちの生活の場というイメージがあったが、カンボジアの孤児院は学校のような学びの役割を担っているようだった。この孤児院では6 歳頃から英語、コンピュータのタイピングの練習を軸に基礎教科の教育を行っており、9 歳前後の子供たちは日常会話程度の英会話ができ小学校卒業程度になるとかなり流暢な会話をすることができていた。また孤児院での学習は孤児限定ではなく周辺に住む子供たちにも無料で授業を行っていた。昼休みになると多くの生徒たちと交流することができ、子供たちの将来の夢を聞くとそのときその場にいた14 人の子供たちは全員がコンピュータ関係の仕事と答えた。そのときいた子供たちとは別の子に「芸能人やサッカー選手、歌手とかじゃないの?」と聞いたが「私たちが大人になって一人で生きてくにはこれが一番なの」と答え、とても衝撃を受けた。5,6歳~13、14歳の子供たちが自分たちの将来について真剣に考え夢を理想ではなく現実的ものとして見ていることに感嘆した。しかし、子供たちに早くから現実を受け入れ将来について考えなければいけない現状は変えていくべき問題とも感じた。

(2)未来の光孤児院(Future Light Orphanage)

 カンボジアについて最初に感じたことは、環境整備や住み分けをしていないことだった。カンボジアでは道路の大きさに関わらず歩道にはゴミが散乱し、決まったゴミ捨て場はなく、当たり前のように住居や露店の前にゴミが置かれておりプノンペン周辺ではかなりの異臭を感じた。これは公共事業や企業のゴミ回収が行われているのだが、まとめられていないゴミやゴミの量が多すぎるなどの理由から一度に全てのゴミが回収されることはなく、場合によっては周辺地域の人に料金を要求することがあるらしい。

image9_4_3.jpeg この問題は住み分けの問題も関係すると思うが、ゴミ箱や共用のゴミ捨て場、生活面の意識変化が必要だと思った。住み分けにおいては上記にもあるが、主要道路や大きな道路沿いでも住居やアパートがあり生活地と商業地が混同していたため一日中騒音や異臭と隣り合わせの生活となっていた。また、商業地と重なるため住居としてのプライベートな空間がとても狭く感じた。これにおいてはカンボジア大学でのインタビューで分かったように現地の人も少なからず問題と感じているようだった。また、高級ホテルや旅行者むけのレストランの横にお金が十分にない家族が住んでいたり、マンションの横に小さなスラム街があったりなども決して珍しい光景ではなかった。富裕層と貧困層が同じ場所に住んでいることで教育や医療における環境に大きな差があると感じた。学校や病院があっても高い学費や医療費のかかるインターナショナルスクールや大規模病院ばかりとなり、散らばっているため貧困層の満足のいく救済法はない。今回訪問した孤児院もたまたま孤児院に引き取られた孤児や孤児院近くに住んでいただけで教育を受けられたが、少し離れた場所に住んでいる子はその教育を受けられないという現状がある。また教育を受けられる環境にあるが親が教育を受けていないため学校へ行かせる必要性を感じていない親も少なからずいることも問題と感じた。

 今回私が建築・建設関係について学んでいることもあり、領事館に紹介して頂き日本人経営者の永田哲司さんの会社「SONATRA GROUP」に企業訪問させて頂きました。そこではカンボジアでの仕事の内容や、私がカンボジアで感じた疑問や問題、カンボジアの現状、これからのカンボジアについてなど様々なことをお聞きすることができ、実際に建設中の建物や建てた家の見学もさせて頂いた。カンボジアには企業自体が少なく企業は自然と富裕層向けの事業がメインとなっていくそうだ。そのため今回見学させて頂いた住宅街も富裕層向けの高級住宅街となっていた。私はこの企業による大規模な住宅街の建設は良い意味での将来的な住み分けにつながるのではないかと考える。住み分けにより国による適切な救済を行える住環境を作るチャンスだと思った。

 最後にこのような遊学機会を与えて下さった在福岡カンボジア王国名誉領事館様、西日本新聞社様、そしてカンボジア訪問を通してお世話になった全ての方々に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。


九州産業大学工学部住居・インテリア設計学科2年 山本拓司

在福岡カンボジア王国名誉領事館

  • 開館日 月曜日~金曜日
  • 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
  • 開館時間 9時半~17時半
    (※ビザの申請・発行は12時半まで)

年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。

開館時間 9:30~12:30
問い合わせフォーム