半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第9期】カンボジアの農業と七島藺(しちとうい)

image9_5_2.jpeg 私はカンボジアの農業について調べたいと思い、カンボジアに滞在していらっしゃる岡本さんのご協力のもと、プノンペンから車で約3時間、そこから船に乗って移動した場所にあるピムポピッチ村を訪ねた。ピムポピッチ村は人口1428人(男性712、女性716)、家215戸、267家族。また、トンレサップ湖の河口の水郷地帯に位置し、雨季になると村が水没して水上生活になるような村である。ちなみに、ピムポピッチという名前はクメール語で虹の架け橋という意味らしい。この村では稲作をメインに行っている人々が多いが、副業として七島藺を編み、茣蓙を販売している人々もいる。七島藺について軽く説明すると、七島藺は、日本では大分県の国東地方だけで生産されているカヤツリグサ科という植物で、畳の材料となる。

image9_5_1.jpeg 似ているもので藺草があるが、藺草の断面は丸いのに対し、七島藺は三角の形をしている。七島蘭には、350年の歴史があり、琉球畳は本来、この七島藺を使ったものを言う。七島藺の原産地は明らかではないが、東南アジアの熱帯、亜熱帯地方と言われている。つまりカンボジアあたりが原産地として考えられている。現在では国東地方に8農家しかなく、深刻な状態に陥っている。私が訪ねた9月には水没に備え七島藺の収穫は終わっており、編んでいる段階であった。そこで私は実際に編んでいる現場を訪ね、その七島藺について聞き取り調査などを行った。

image9_5_3.jpeg 七島藺は12月に種植え、1~5月で作られる。茣蓙の大きさは1.2m×2.0mのものが一般的であったが、5.3m×0.9mのものなどもあった。また模様は様々であり、各農家が自分の家の模様を6種類ほど持っている。驚くことに、現地に住んでいる方々はその模様を見ただけで、どの農家が編んだ茣蓙なのかが分かるという。茣蓙の生産量は農家によりばらつきがあるが、10農家の過去3年を平均して年43枚を生産していることが分かった。また、各農家の家族の人数は平均して6人で、2日で3枚を生産するペースであることも分かった。子供たちは普段学校に行っているが、忙しい時期になると農作業のために学校を休まなければならないこともあるらしい。茣蓙1枚あたり農家から業者に1100~2200円ほどで売られる。業者からお店へは2750~3300円、お店からお客には3850~5500円で売られていると言う。日本では畳ではあるが半畳(0.9m×0.9m)が25,000円で売られている。七島藺は日本でとても価値の高いものであることに驚いた。これだけ日本で価値のある七島藺が絶滅の危機であるのが現状である。ちなみに、米の生産量も聞いたところ、平均で年およそ6200kg生産していることが分かった。ここの村の稲作は、増水してその水が引いた後に残っている泥などが肥料となっているらしく、自然を上手く利用しているところにとても感心した。また、私はカンボジアのお米を何度も食べたが、カンボジア米はタイ米よりも日本のお米に近く日本人にとって食べやすいと思った。

image9_5_5.jpeg また、プノンペンにあるカンボジア大学を訪問した。そこでカンボジア大学の英語科の生徒達とお互いの国の文化などについて会話した。外国の大学に混じるのは心配であったが、みんな笑顔で迎えてくれて、カンボジアの人の温かさを感じた。カンボジア大学の学生達からはあいさつやお礼を言うときには手を合わせることなどを教えてもらい、私は日本には四季があることを教えるとみんなうらやましそうにしていて、特に冬に降る雪には興味津々だった。

image9_5_4.jpeg さらに、シェムリアップに数日滞在し、世界遺産であるアンコール遺跡やプレアヴィヒア寺院を観光した。シェムリアップはプノンペンより比較的穏やかという印象を受けた。プレアヴィヒア寺院はタイとの国境にあり、数年前までタイとの国境紛争が起こっていたため、あえて地雷を撤去していない場所もある。そのような場所にあるプレアヴィヒア寺院だが、そこから見る景色は絶景であり、日本では見ることのできない自然と、地平線を見ることができた。カンボジアに行く前は、初めて一人で海外に行くということもあり不安ばかりであったが、実際に行ってみると温かい人も多く、様々な人に助けられながら、カンボジアに滞在した17日間を楽しく過ごすことができた。ピムポピッチ村では、日本では経験できないような生活を数日間体験することができ、現地に住んでいる方々ととても近い距離でふれあうことができた。また、観光として行ったシェムリアップには日本人バックパッカーも多く、それぞれが旅してきた場所の話などをしてくれて面白かった。一瞬の出会いと別れであったが、たくさんの人と出会うことができてよかったと思う。

 最後に、カンボジアで貴重で素晴らしい経験を積む機会を与えてくださった、在福岡カンボジア王国名誉領事館様、西日本新聞社様、世界開発協力機構様、そしてカンボジア訪問に携わっていただいたすべての方々に心から感謝を申し上げます。


宮崎大学農学部2年 吉松朋紀


在福岡カンボジア王国名誉領事館

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