半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第10期】バリアフリーな社会を目指して

image001.jpgはじめに
私は、障がい者の日常の課題を解決する事業を始める候補地として、調査のために現地に赴いた。私は障がい者の課題をビジネスで解決することをミッションとして掲げ、起業・事業展開を目指し活動をしている。今回の調査では、アクセシビリティの現状を知ること、バリアフリーへの意識レベルを知ることを目的とし、自立支援施設、孤児院、大学、義肢義足の製作所、中心市街地、商業施設を訪問した。



image002.jpg障がい者が多い
カンボジアは20年以上に及んだ内戦の影響や煩雑とした交通状況によるバイク事故の多さから身体障がい者となった人がおり、日本と比較して高い割合の方々が障がい者として生活している。しかし、首都であるプノンペン市街地を歩いていて、ほとんど障がい者を見かけない。市街地は障がい者を受け入れることを想定して作られていないように感じた。道路には凸凹が多く、歩道には多くのバイクが駐車されている。さらには、バイクが歩道を走らないように意図的に、高さ40センチほどのコンクリートの障害物を設置しているところも少なくないのだ。下半身が健康な私でさえ、通行する際に歩きづらさを感じる。このようなカンボジア市街地における道路インフラはカンボジア社会として障がい者を受け入れる体制が不十分であることを映し出しているように感じた。



image003.jpg生きていくために
プノンペン空港の近くにあるプノンペン自立生活センター(以下、PPCIL)と呼ばれる施設を訪問し、施設の創設者でありマネージャーのサミス氏に話を伺った。サミス氏は、日本の職業訓練支援センターにて複数回、職業スキルを高める訓練を受講している。PPCILでは、サミス氏が日本で身に着けた技術をほかの障がい者に共有し、それぞれがしっかりと稼げる個人として自立することを目指している。サミス氏は、体が不自由でできないことが多いからこそお金が必要であると話す。実際に、ほとんどの公共交通機関(トゥクトゥク、三輪タクシー、バス、電車)は身体障がい者には使い勝手が悪いという。仮に公共交通機関で移動したとしても、降車した先で前述したような利用しづらい歩道が待ち構えているため、生活の自由が利かない。このような社会だからこそ、自分にできないこと、不便なことを解消するためにお金が必要なのだ。
公共交通機関が使えないのであれば、移動方法を工夫しなければならない。サミス氏は、バリアフリートゥクトゥクと車いすでも利用できるバイクを開発していた。普段はバイクで移動しているらしい。このような、移動の工夫をするためにもやはり、お金が必要なのだ。



image004.jpgトイレ問題
障がい者が外出する際に、最も気になる要素の一つがトイレの有無である。カンボジアには、障がい者が利用することを想定して設計されたトイレがほとんどない。そのため、障がい者は外出先でのトイレに悩むことになる。現状では、おむつや瓶・袋など試行錯誤して障がい者は備えているらしい。





image005.jpg カンボジアで一番バリアフリー
プノンペンにほぼ完璧なバリアフリー化が実施されている商業施設がある。それは、日本から進出しているイオンモールだ。カンボジアにはまだエレベーターが少なく、障がい者の利用を想定して設計されたトイレもほとんどない。しかし、イオンモールではエレベーターや障がい者専用トイレも設置されている。さらに、商品棚も広い感覚をとって設置されており、車いすでも通れるように通路が確保されている。プノンペンにはイオンモールが2店舗展開されており、3店舗目の開発も進んでいる。3店舗目は、もっと障がい者が利用しやすい施設にするためにサミス氏らがコンサルタントのような形で障がい者利用者としての意見を提案していくような話もされていた。


image006.jpgまとめ
私が考案していた事業は障がい者が生活の中で直面する“手続き”という場面に発生する課題を解決するものだ。しかし、現時点でのカンボジアではそのサービスを展開するには適さないと感じた。理由は以下の2点だ。第1に、社会進出している障がい者が少ないからだ。第2に、手続きよりも重大な課題が多く、サービスへのニーズを見出すことができなかったからだ。 カンボジアには多くの障がい者が生活している一方で、カンボジア社会が障がい者を受け入れる体制として不十分であることがわかった。しかし、カンボジアは「開発国」である。まだ変革の途中であり、すさまじいスピードで変化し続けている。だからこそ、その変化の過程に参加する障がい者を少しずつ増やすことができれば、障がい者を受け入れられる社会になることは遠い事象ではないと感じる。実際に、イオンモールがバリアフリーの商業施設として繁盛していることやサミス氏のように障がい者側からアクションを起こしていく人が現れていることは良い兆しといえるだろう。現時点では、私が考案するサービスを展開する候補地として適さないと述べた。しかし、近い将来、障がい者を受けれる社会に変革し、サービスを展開すべきチャンスが来る可能性も大いに感じられた。そのチャンスを逃さぬようこれからもカンボジアに目を向けていきたい。


宮崎大学地域資源創成学部2年 福永昌俊

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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