半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート

【第10期】カンボジア遊学生レポート

image001.jpg 私は今回カンボジア遊学生として12日間で3都市を訪れた。その中での私のテーマは、様々な教育のあり方だ。

最初にシェムリアップで3日間のホームステイを行った。カンボジアの家庭を見てみたいと考えたからだ。空港からトゥクトゥクで1時間程度行くと、かなり田舎の農村部に着いた。道は舗装されておらず、家同士の距離は遠い。私が滞在した家庭は、母親、5歳の女の子と10歳の男の子がいた。プノンペンから1年前に引っ越してきたばかりで、父親は現在もプノンペンで働いているため離れて暮らしている。隣に小屋のような家が3つあり、そこに他のゲストが宿泊している。私は、そこではなく家族が住む家の一室に泊まった。朝は鶏の鳴き声で目覚め、周りには牛がたくさんいた。その家の子供たちは夏の休暇期間で、他の宿泊者や近所の子供と遊んで過ごしていた。驚いたのは、10歳の男の子がスポンサーの支援を個人的に受けながら半年前からインターナショナルスクールに通い、様々な国のゲストと話すことで英語を日々上達させていることだ。その男の子が家の周りの案内もしてくれた。母親の話によると、子供にいい教育を受けさせるために、知り合いに問い合わせスポンサーを見つけたようだ。そして、母親自身は現在親戚が経営するビジネスを手伝っている。父親不在で二人の育児は大変だと話していたが、より良い教育と新たなビジネスのために新たな土地での暮らしを決めたのだと言う。このようなカンボジアの家庭や子供への教育への思いを実際にその人たちと暮らして知ることができた。

image002.jpg 次に、カンボジア第二の都市であるバッタンバンに移動し、HOCノリア孤児院(児童養護施設)で3日間のボランティアをさせていただいた。泊まり込みで滞在させていただいたため、朝起きて夜寝るまでの一連の流れを見ることができた。起床してすぐに掃除をし、その後に朝食を全員でいただき、食器を各自で洗い食堂を決められた当番が掃除する。その後は体操、日本語の授業がある。1日の生活を送る中で、子供たちがそれぞれ決められた役割の中で仕事をしていく姿が見られた。スタッフの方がおっしゃるには、子供たちは保護された時には掃除の習慣等といった日常生活を送る上で基本的なことが身についていないことが多い。その為、毎日の生活の中で役割を与え、指導することを重視しているようだ。20名を超える集団生活を送る上で、子供たちの過ごす環境をいかに充実させ、どのような力をつけさせたいかというスタッフの方の気持ちに触れられた。また、私と同年代で半年や一年間のボランティアをその施設で行う方々と出会った。その方々が、この施設で子供たちが家庭と同じ安心感を得られる場にしてあげるためには何ができるのか、とよく話していたことに感銘を受けた。確かに、孤児院や児童養護施設などは集団生活を送る上で規則を守ったり役割を与えられたりと学校のような側面が強い。その学校と家庭の両方の性質を持ち合わせた場所にするバランスの難しさを感じた。また、この短期間で子供たちがなついてくれ、夜寝る時も直前までずっと甘えてくる子もいた。本来なら子供たちの生活の場に入っているため、長期的な信頼関係を築いていくのが望ましいが、私は短期ボランティアとして来たためにすぐに去らなければならない申し訳なさを感じた。また、この施設ではボランティア希望者が増加しているため、その受け入れが徐々に難しくなっており、ボランティアの在り方についても考えさせられた。

image003.jpg 最後に、カンボジアの首都であるプノンペンで3つの場所を訪れた。一つ目のカンボジア大学では、二つの授業を学生と共に受講した。午前の教育社会学では、カンボジアの宗教・法と教育の関係性を学生がプレゼンした。ただ、クメール語の授業であったため細かい部分は分からなかったが、先生が適宜翻訳してくれた。私が行った時はサマーコースで、少数クラスが多く開講されており、5人の授業であった。午後の授業は図書館の司書の授業であった。教科書は英語、授業は基本クメール語だったが、私に合わせて英語も使ってくれた。教科書はクメール語のものが少なく翻訳するのにお金がかかることから、クメール語を使用する授業であってもほとんどの教科書が英語のものらしい。この授業の後半は急遽授業内容を変更していただき、今までの教育への関わり方の経験を共有する時間になった。ほとんどの人が1日の半分をパートタイムで教師として働きながら、あとの半分で大学の授業に来ている。また、大体の人は20代であったが、30代後半の人が1人おり、若いうちは大学に行けなかったけど、今やっと行けるようになり学べるのが嬉しいと言っていたのが印象的だった。二つ目は、未来の光孤児院である。ここでは、スタッフの方がついてずっと孤児院内を案内してくれた。この施設はバッタンバンで訪れた孤児院よりもかなり規模が大きく、保健室があり看護師が常駐しているなど、学校のような雰囲気があった。さらに、パソコンや図書館などの設備も充実に驚いた。このパソコンの授業があるのがこの孤児院の特徴らしく、パソコンが使える人を採用するために、企業の人がスカウトにやってくるそうだ。これは、この施設に入るアドバンテージと言える。そして、このパソコンを用いた充実した教育はこの施設にいる子供のみを対象としたものではなく、地域の子供にもかなりの低価格で開かれているそうだ。以上のことから、この孤児院は、子供たちの生活の場かつ地域の子供への教育の場として多くの役割を担っていることが分かった。そして、ここ数年で子供の数が減少している。具体的な数字で言うと、4年前が子供262人であったのに対し、現在は101人であり半分以下になっている。そのため、今後この施設をどのような形で運営していくかが課題となるとスタッフの方がおっしゃっていた。三つ目は、日本人の方が運営するフリースクール「愛センター」に伺った。午前中から16時までは小学生への算数と英語の授業、17時から夜間までは中学生から大学生への英語と日本語の授業があった。小学生の授業は、小学校の授業が午前か午後の半日のため、子供たちは学校前か後にフリースクールに通ってくる。3クラス分の教室があり、各クラス20名弱の子供で和気藹々と授業が行われていた。また、中学生から大学生のクラスに通う数名と話をした。日本語の授業を受けるプノンペン大学の学生は日本の文化に元々興味があり、友人の紹介でこのフリースクールを知った。プノンペンで英語を学ぶコミュニティーセンターのような場所はあるものの日本語を学べる場所が中々見つからなかったため、このような機会はありがたいと言っていた。そして、日本語の授業を受ける中学生の女の子は、日本語を学ぶことで自分の将来の選択肢を広げたいと語っていた。このスクールを訪問する前は、経済的な理由等で学校に通えない子供たちが来るというイメージがあったが、実際は学校で学んだことの復習やプラスで学ぶ場所である、日本における塾のような場所だと感じた。また、授業開始前や後には、小学生から大学生、大人の先生まで一緒になりサッカーやバトミントンを楽しそうにしていた。勉強だけではなく、コミュニティー形成の場にもなっていることを感じた。

image004.jpg 今回様々な教育機関を訪問させていただき、一つの場所であってもそれが担う役割が多様化していることを学んだ。教育施設のあり方や支援の体制が社会の変化に応じて変化することが今後さらに予想されるだろう。最後になりましたがカンボジアで見学やボランティアとして私を受け入れてくださった各機関の方々、この奨学金を支援していただいた方々、今回のような機会を与えてくださり本当にありがとうございました。


九州大学教育学部3年 原口れいら

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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