きよらのカンボジア留学体験記

福岡教育大学初等教育教員養成課程で美術専修の2年生。2014年に在福岡カンボジア王国名誉領事館が実施する「半田スカラシップ~カンボジア遊学生」の第6期生としてカンボジアを訪問したのを契機に、美術でできる支援のあり方を考えるため、カンボジアに1年間留学中。

抽象的な絵の授業に挑戦

7月末より、シェムリアップにあるSmall Art Schoolで、「美術でできる支援あり方」と「美術授業で大切なこと」を中心に学んでいます。この学校は、元高校美術教師の笠原知子さんが開く無料の美術教室です。笠原さんは、20年間貯めた自己資金で現在の活動の大半を賄っているそうです。ここで週3回も授業を任せていただきました。その中の一つの授業をご紹介させていただきます。
今まではほぼ通訳なしの状態でやっていたので、怖くてなかなかできなかったのですが、今回は通訳がいたので、思い切って抽象的な絵の授業に挑戦しました。材料は支援物資で有り余っていた顔彩と、私が福岡でいただいた質のいい半紙を使いました。いつも子どもたちが使う画用紙や水彩との違いの面白さを試しつつ、遊びながら感じでもらいました。
水の量によって淡く、ふわっとした表現になったり、かさかさ乾いたような表現もできることを知りながら、それらの色のリズムを彼らは何枚も描いていきました。
実はこの授業の前に、木から感じたことの中から、言葉にならない思いを絵にしてみる授業を、パステルを使って行いました。その際も感じましたが、彼らは想像以上に描けることが分かりました。自分の世界と対話して表現することができていました。
 もちろん最初は、初めての道具と材料で「これでいいのかな?」という表情をする子もいました。しかし、「それ、おもしろいね!」という誰かからの一言で救われ、柔らかな笑い顔になり、どんどん描いていきました。
子ども時代の自分との対話、その表現の手段と時間を与えられる環境は、当たり前ではなく、幸せだと思います。そして認めてくれる誰かがいるという幸せ。人間としての喜びを得る時間です。
カンボジアでの美術、美術教育でできる支援のあり方を学ぶことは、生きることや忘れかけていたことを思い出したり、教育のあるべき姿やこれから日本を考えることにも繋がります。

在福岡カンボジア王国名誉領事館

  • 開館日 月曜日~金曜日
  • 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
  • 開館時間 9時半~12時半

年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。

開館時間 9:30~12:30
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