きよらのカンボジア留学体験記

福岡教育大学初等教育教員養成課程で美術専修の2年生。2014年に在福岡カンボジア王国名誉領事館が実施する「半田スカラシップ~カンボジア遊学生」の第6期生としてカンボジアを訪問したのを契機に、美術でできる支援のあり方を考えるため、カンボジアに1年間留学中。

ぬり絵鑑賞教育の実践

ピカソの「泣く女」、ゴッホの「種蒔く人」など巨匠の絵画を塗り、塗りながら考えた絵のストーリーとタイトルを考えて発表するワークショップをしました。前回のワークショップで子どもたちはクレヨンを色鉛筆のように薄く細くあまり塗りこまずに使う子が多かったため、クレヨンで遊びながら表現を広げるワークショップができないかと考えて生まれた内容です。私たちが塗ることを知っているのは「塗り絵」があったからだと思い、どうせなら名画を塗らせてみようと思いつきました。
初めに少しだけクレヨンと遊ぶ時間を設けました。クレヨンは、ぼかしたり伸ばしたり、混色をしたり削ったりすることができることを教えました。それを知った子どもたちは、早速それを生かして何かの絵を描いて楽しんでいました。
次に名画であることを知らせないで、名画の塗り絵をさせました。先ほど教えた技法を使う子どもも高学年生にたくさんいました。塗りながら名画の世界に入り、それぞれの形やモチーフを辿り、全体を見た時には気づかないことに気づいていきます。
この児童養護施設の子どもたちやスタッフの大人も、ピカソや名画を知りません。だからこそより自由な目で絵画をみます。ゴッホの「星夜」の大きな木のうねりが炎に見えたり、ピカソの「泣く女」が王様や男の人に見えたりと大変興味深いものでした。人物の表情や動きも、彼らの見方は大変自由でした。ゴッホの「種蒔く人」は音楽農民で、種は虹色にぬられていたり、カンディンスキーの丸がたくさん描かれてあるものは目玉焼きに見 えたりします。驚いたことに、ムンクの「叫び」とゴッホの「星夜」の背景が津波(TSUNAMI)に見えたという子が2人もいました。東北の大震災 3.11を意味するTSUNAMIでした。日本の情報が彼らにどれほど入ってくるのか分かりませんが、3.11から5年たった今も、カンボジアの児童養護施設の幼い子どもたちの心にあったのでした。
最後にクイズ形式で作者紹介をしました。いつもよりよく話を聞いていたように見えました。ゴッホの作品の価値は彼が亡くなってから見つけられたことや、クリムトが実は男性だったこと、ムンクの「叫び」のタイトルの理由やルソーの「眠るジプシー女」のライオンはなぜ女性を食べないのかの理由について話しました。少し長めのお話でしたが、ほとんど飽きることなく反応しながら聞いてくれたのが印象的でした。
初めての名画との出会いに、塗り絵は大変効果的であること。名画や巨匠を知らなくても決してネガティブなことではなく、むしろ先入観を持たずに自由にみることができるのだということが分かりました。

在福岡カンボジア王国名誉領事館

  • 開館日 月曜日~金曜日
  • 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
  • 開館時間 9時半~17時半
    (※ビザの申請・発行は12時半まで)

年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。

開館時間 9:30~12:30
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