きよらのカンボジア留学体験記

福岡教育大学初等教育教員養成課程で美術専修の2年生。2014年に在福岡カンボジア王国名誉領事館が実施する「半田スカラシップ~カンボジア遊学生」の第6期生としてカンボジアを訪問したのを契機に、美術でできる支援のあり方を考えるため、カンボジアに1年間留学中。

道端お絵かき~絵を通した対話~

 首都プノンペンの川沿いには、国立博物館やギャラリー、外国人向けのお店が立ち並んでいます。外国人向けのおしゃれなレストランで食事をしていると、必ずミサンガを売りに子どもがやって来ます。その川沿いのベンチで、お絵かきをしました。ミサンガを売りに来るような子どもたちと一緒にお絵かきをしてみたかったからです。私ははじめ、その子どもたちはみなストリートチルドレンなのだろうかと思っていました。もし教育を受けていないなら、そんな子どもたちは絵に対 してどのような反応を示すのだろうかと勝手に想像していたのです。
 日曜日の午前中に、わざと人の多い場所を選んで、画用紙とボールペンとクレヨンを使って ベンチに座って川沿いの風景を書きました。すると何人かの子どもたちがやってきて私の隣に座り、真剣に絵を見つめています。すると一人の男の子が「絵が 好きなの?」と英語で聞いてきました。よく話を聞くと、彼は12歳でした。学校に行って英語も少し習っているそうです。彼は兄妹が5人いて、母の仕事をいつも手伝っているということでした。母は川沿いでジュースや水を売っていました。彼の兄妹は私の絵を見に来た子どもの中にいて、頻繁に兄弟げんかをしていました。彼は長男であるため兄妹の面倒を見ながら、学校が無い時は母の飲み物売りの手伝いとミサンガ売りを担当して働くそうです。ミサンガを売る時は、他の家族の兄妹と一緒に売りに行くそうでだ。
 「描いてみたい?」と聞くと「描きたい」と言ったので、用意していた画用紙、ボールペン、クレヨンや色鉛筆をあげて一緒に絵を描きました。いつもの授業ではないので何も言わないで描きたいものを描かせていました。今まで幾度かカンボジアの子ども達に「何を描いたらいいの?」、「写しがきをするための絵を描いてほしい」という子どもがよくいました。しかし驚いたことに、彼らは何かの絵を模写することも、自分が写しがきをするための絵を私に頼むこともなく、好きなように好きな物を描いていました。ボールペンで描いた頭だけの人やお花のようなもの、おばけのようなものなどをみんなどんどんと描いていきました。「とてもいいね!」と表情も大げさにして言うと、さらに描き込んでいきます。色を塗ってもいいよ、と言ってクレヨンや色鉛筆で色を重ねたり、こすってぼかすことができることを少しだけ教えました。すると丁寧に予想外の色を塗っていきました。
 違う日に同じようにスケッチをしていると、他の子どもたちがやって来ました。はじめは、川沿い の水上生活をしている子どもたちだと思っていましたが、彼女たちも何人か英語が話せたのでした。一緒に絵を描きながら話していると、その子どものうち、特に英語が話せる金髪の16歳の少女は学校に行って英語を勉強していたそうですが、今は母の仕事の手伝いが忙しいのであまり学校には行っていないということで した。彼女は長女で兄妹が4人いました。子どもたちが描いていると、そばを通る外国人やカンボジア人が興味を持ってくれました。話すことができないカンボジア男性が、目とジェスチャーで「とてもいいですね」と表現してくれました。
 道路や川沿いにいる、一見ストリートチルドレンの子どもたちとは、何もなければ今まではどうしたらいいだろうかと頭で考えるだけで、通りすぎていました。絵を描くという行為があったことで彼らと対話をすることができました。イメージや勝手な思い込みで見てしまっていたのだと分かりました。 また、絵を描きながら一日中同じ所にいて人々の動きを観察することができました。留まって学ぶ、とはこういうこともあるのだと思いました。

在福岡カンボジア王国名誉領事館

  • 開館日 月曜日~金曜日
  • 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
  • 開館時間 9時半~17時半
    (※ビザの申請・発行は12時半まで)

年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。

開館時間 9:30~12:30
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