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日本人向け雑誌「NyoNyum(ニョニュム)」を発行する 山崎 幸恵さん(41)=プノンペン在住
最近、プノンペン中心部に日本食レストランが相次いで開店している。多くの店に置いてあるのが、日本語の無料情報誌「NyoNyum(ニョニュム)」。隔月刊で、並べるとすぐになくなる人気ぶりという。
カンボジアで情報会社を経営し、通訳でもある山崎幸恵さん(41)が発行する。雑誌名はクメール語で笑顔の意味。山崎さんのこの国の第一印象でもある。
1994年、青年海外協力隊の隊員として初めて降り立ったプノンペンの空港。目が合った小さな女の子がニコッとほほ笑んだ。「あ、この国っていい国だな」。素朴な笑顔にそう思った。
任期途中に病気で帰国。あきらめきれずに96年に単身で戻ってきた。現地の大学でクメール語を学習。日本では「危険で貧しい国」と言われるが、カンボジア人は純粋で日本人には薄れた心の豊かさを持っていた。2003年創刊の雑誌は「マスメディアが伝えないこの国の姿を伝えたい」との思いからでもある。
編集の方針は身近なカンボジア。8~9月号は都市伝説や迷信を特集。「やけどに歯磨き粉を塗ると治る」「アンコールワットの高さが年々低くなっている」などの話題を取り上げ、専門家の検証を交えて真偽を探る。思わず「なるほど」と膝を打つ面白さだ。
日本人は「支援してお金を出す側」で、カンボジア人は「受ける側」。主従関係ができがちだが、「カンボジアで何かをするとき、この国の文化や気持ちを無視しては何もできない」と思う。学校教育の質と量では、日本と雲泥の差がある。だが、現実の生活力は日本人よりも勝っていると感じる。「お互いに対等で、補い合える良いパートナー。もっと学び合えばすてきな関係が築いていけるはず」と話す。
活動は広がっている。伝統的に土鍋を生産していた村で、より付加価値が高い釉薬陶器の生産技術を取り入れた新事業にも取り組む。「これからもカンボジア人の笑顔の原点を探り、伝え続けていきたい」。ニッコリとほほ笑んだ。
=おわり
(金沢皓介が担当しました)
カンボジアの日本人
外務省によると、2012年10月現在のカンボジアの在留邦人数は1479人。01年10月の559人からの10年間では2倍超に増えた。11年の増加率は前年比16.72%で、邦人数上位50カ国(地域)の中で2番目に高い。カンボジアの日本人商工会には準会員を含め149社・団体が参加。会員数が急増し、10年度からは約3倍となっている。
2013年10月19日 西日本新聞