カンボジア&九州ニュース

石工としてカンボジアで寺院の修復に取り組む/江口 裕子さん(えぐち・ひろこ)

 私は何をしたいのか-。九州職業能力開発大学校(北九州市)を卒業後、自分探しの旅に出た。たどりついたのはバルセロナの世界遺産、サグラダ・ファミリア。19世紀からガウディが建設に心血を注ぎ、なお建築中の教会だ。途方もない手間をかけ、石に刻まれた表現の数々。「私がしたかったのは石に携わる仕事だ」と気付いた。

 帰国後、石にまつわる仕事を探したが、なかなか見つからない。転機が訪れたのは2012年。高松塚古墳(奈良県)の石室解体を手掛けた石工の左野勝司さん(73)が、カンボジアのアンコール遺跡群にある「西トップ寺院」の解体修理に携わっているのをインターネットで知った。

 思い切って弟子入りを請う手紙を書くと、左野さんから電話があった。「カンボジアで働かないか」。飛行機に飛び乗った。のみとハンマーでひたすら石をたたく日々。仕事ぶりが認められ、奈良文化財研究所が進めるプロジェクトへ参加が認められた。現地で女性の石工はただ一人だ。

 9~15世紀の石組みの修復は時間がかかる。割れた部分に石をはめ込み、ボルトでつなぐが、手を入れすぎてはいけない。「ごまんとやることがある」。時には解体した石に象や鹿、蛇、宇宙人のような落書きがしてあることも。「何百年も前の石工さんの遊び心がのぞけて、楽しい」

 福岡県柳川市の実家に滞在してアルバイトで資金をためては、カンボジアに戻る日々だ。2月は柳川でバレンタインチョコの販売員と、喫茶店のウエートレスを務めた。間もなく9度目のカンボジアに渡る。31歳。 (鶴丸哲雄)


写真:江口 裕子さん

2016年3月7日 西日本新聞

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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開館時間 9:30~12:30
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