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【ひと】福岡アジア文化賞大賞を受賞したカンボジアの民族学者 アン・チュリアンさん

 カンボジアの大学で行った受賞記念の講演会。会場の質疑に、国を代表する民族学者は「私には分からない」と答えた。講演後は多くの学生たちの祝福と、なお質問の列が続いた。真摯(しんし)で、それゆえ敬愛される氏の一面がのぞいた。

 「母国の文化を理解したい」と王立芸術大学で人類学、考古学を専攻。奨学金を得て1974年に渡仏した。予定は33カ月。しかし正式帰国まで20年近くを要した。故国の内戦。眼鏡をかけていただけで「インテリ」と粛清された狂気の時代。「親族、同僚、友人。何人が犠牲になったのか、数えることもできない」と話す。

 再会したアンコール遺跡群。「国の誇り」という懐かしさ以上に、戦火で傷つき荒れるに任せた姿に心が乱れた。帰国後は遺跡保存責任者に就任。国際社会に支援を呼び掛け遺跡群の世界遺産登録に貢献した。同時に母校で教壇に立ち、「カンボジア人によるカンボジア文化、生活の研究」の大切さを説き、民族の起源や特徴を生活様式の中からひもといた。クメール語での授業など「クメール・ルネサンス(再興)」と呼ばれる。

 「遺跡修復に一緒に汗した日本人もたくさんいる。技術面だけでなく、精神文化にも教わることが多い。その日本からの受賞は、この上ない喜びです」。61歳。

 授賞式は15日。18日午後1時半から福岡市のアクロス福岡で「民間信仰から見たアジアの稲作社会-カンボジアの村落から」と題した市民向けフォーラム(入場無料)を行う。 (進藤卓也)

2011年09月13日西日本新聞朝刊

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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