カンボジアに暮らして

プノン・バヤン・カオ山に登る

タケオ州に位置するプノン・バヤン・カオ山(バヤン王が頭を剃った山という意味)に登りました。タケオ州の州都をさらに南下したベトナムの国境が目と鼻の先にありところで、山頂には7世紀前半に建立されたレンガとラテライトの遺跡があります。


山道への入り口が中々見つからず、「え?ここから登るの?」という感じで、民家の裏側が山道でした。どうやら行き方は2つあるそうで、意図せずして最短距離を選んだようです。近所の子どもと犬もなぜか下山までずっと道案内してくれました。誰かに案内してもらわないと迷うと思います。


いざ、山登り開始!思ったよりも道がけわしく、道らしきものはあるものの急勾配の道やごつごつした岩が多く、木々を掻き分けて登るのはかなりきつい。実は、2001年に友人が登ったことがあり当時は大変だったそうですが、「もう10年近くも経っているし、きっと今は道も整備され、登りやすくなっているだろう」という淡い期待は見事に破られました・・・。子どもたちと犬は、ひょいひょいと登っていきます。しかも、素足で!たくましいですね。水にポカリスエットの粉のようなものを入れたものを持参しましたが、汗だくで喉は乾くし、結局水が足りなくなってしまいました。


途中でネアック・ター(※)にお参りし、ひと息ついて出発。休みながらムォイムォイ(ゆっくり)登ったので一時間以上かかって頂上へ。すると、遺跡付近に住んでいる方が数人。ここで瞑想等の修行生活をしているそうです。「以前は千人以上住んでいた」と聞きましたが、きっと聞き間違いだと思います。千人は多すぎる・・・。


あるおばあさんは、10年以上も遺跡のそばに小屋を建てて暮らしているそうで、これほど険しい山道を、よく登ったなあと驚きます。「ここはとても静かで瞑想に集中できる」とおっしゃっていました。


この遺跡はプレ・アンコール期のものだそうで、中心部には近年安置されたと思われる仏像が。寺院の入り口前にはラテライトのナーガ(蛇)を見る事ができます。かなり風化していますが、アンコール・ワットより古い時代のものかと思うと感慨深いものがあります。山頂からの眺望も圧巻。「天空の城ラピュタ」を思い出させるような風景でした。ベトナムがどちらの方向なのか分かりませんでしたが、夜になるとベトナム側の明かりがきれいに見えるそうです。


遺跡は全部で5つあるそうで、今度は別の遺跡にもチャレンジしてみるつもりです。風景も遺跡もすばらしかったですが、遺跡周辺に住む人々の印象が強く残った旅でした。このプノン・バヤン・カオ山にまつわる民話として、シャム(タイ王国の旧名)に連れ去られた王妃の話があります(北川香子著『アンコール・ワットが眠る間に―カンボジア 歴史の記憶を訪ねて』連合出版)。関心のある方は読んでみてください!


※「ネアック・ター」=クメール語でおじいさんを意味し、土地の精霊として祀られている精霊信仰の一つ。


(写真上)=木々をかき分けて山頂へ向かう
(写真中)=プレ・アンコール期の遺跡
(写真下)=山頂から見た景色は絶景

在福岡カンボジア王国名誉領事館

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