- 開館日 月曜日~金曜日
- 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
- 開館時間 9時半~12時半
年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。
私は20日間カンボジアに滞在し、プノンペン、バッタンバン、シェムリアップを回りました。今回の旅のテーマは、カンボジアの幼児教育の実状を知り、自分に何ができるかを考えるというものでした。
プノンペンでは、私立幼稚園を2園、公立幼稚園を1園、孤児院を1院、大学を2校訪ねました。行く先々で歓迎していただき、多くの人と出会い関わることができました。
初めに私が訪ねたのは、state schoolと呼ばれる公立の幼稚園です。私が訪問した日はお休みだったので、普段の様子を見ることができませんでした。でも親が仕事で面倒をみることがでない子どもが8名来ており、先生にもお話を聞くことができました。公立の幼稚園なので、保育料がほとんどいりません。教室内には干支や方角、果物、野菜についての絵が貼ってありました。また1週間の保育計画も貼ってあり、それに沿って進められているようでした。
私立幼稚園には、ビデオルームや図書館があり、英語とクメール語の授業を行っていました。しかし、ここは私立幼稚園と言いつつも小学生以上も通って勉強しています。だから、イメージとしては私立学校の中に乳児部、幼児部、小学部があるというような感じです。2つの園とも中間層向けと言っていましたが、お金に余裕のある家の子どもが通える学校であると言えます。そして、これらの園には子どもが自分でお金を出してジュースやお菓子を買うことができる売店があります。どんなに小さい子どもでも、休み時間になると買いに来て自由に食べていました。子どもの健康を考えるとあまりメリットはないのではないかと感じました。
今回いろいろなスタイルの幼稚園を参観して思ったことは、幼児教育はまだ発展途上であり、格差が大きいということです。カンボジア大学の教育学部の学生の話では、幼児教育に関する法律や制度も整っていないそうです。また、ストリートチルドレンや親に経済力のない子どもは幼稚園で教育を受けることができていません。幼稚園などを建設していくことももちろん必要ですが、先生の教育や子どもを取り巻く法律や規則の整備が必要だと強く感じました。
バッタンバンでは、日本人の岩田亮子さんが支援されているHOC孤児院を訪ねました。今回の遊学で一番心に残った場所でもあります。4日間だけの滞在にも関わらず、子どもたちは温かく迎えてくれ「シスター!シスター!」と慕って、たくさん遊んでくれました。
買い出しをして重たい荷物を持って帰ると、トゥクトゥクまで取りに来て運んでくれたり、ごはんをよそってくれたり、子どもたちはみんな働き者でよく気がつきます。
そして何より素敵な感性をもっています。HOCの中にある外壁にみんなで絵を描いたのですが、どの子どもも自由で斬新な絵を夢中になって描いていました。また、遊びも自分たちでいろいろと考えてしていました。男の子たちは、ボール遊びやおにごっこのルールを自分たちで工夫して遊んでいました。女の子たちは、自然に咲いているお花を髪飾りにしたり、お化粧として塗ってみたりしていました。自分たちの身の周りにあるものを使って、考えたり想像したりする力は素晴らしいなと感じました。
シェムリアップでは、日本人がボランティアで建設した幼稚園の開校式に参加することができました。ここでは、カンボジアの子どもたちの笑顔のために幼稚園を建てようと熱い思いで取り組まれている日本人の方にたくさんお会いしました。人生の先輩としてのお話もたくさん聞くことができましたし、幼稚園が足りていないという現状も改めてわかりました。さらに、幼児教育の分野でカンボジアと関わっておられるということで、支援のありかたを考える上で大変勉強になりました。
さらに、日本人女性がカンボジアの子どもたちのために無償で行っている絵の学校にも訪問しました。お盆で学校はお休みでしたが、設立の経緯などたくさんお話を聞くことができました。
幼児教育に関することについて述べてきましたが、この他にもいろいろな場所に出かけ、たくさんの出会いに恵まれました。日本との文化の違いに戸惑うこともありましたが、この違いがカンボジアのよさだと思います。子どもたちが将来自分の夢を持って、やりたいことができるように教育は発展していかなくてはならないと思います。しかし、カンボジアの人の温かさやのんびりとした雰囲気はいつまでも大切にしてもらいたいと思います。今回の遊学で、もっとカンボジアについて知りたい、関わっていきたいと感じました。まず、今の私にできることは、私が自分の目で見た現状を友人やカンボジアについて知らない人たちに伝えていくことだと思います。そして、1度きりの訪問で終わらないよう、継続的に関心を寄せていくことだと思います。
今回カンボジアで有意義に20日間を過ごすことができたのは、在福岡名誉領事館の方々をはじめ、出会ってくださったすべての人々のおかげだと思います。ありがとうございました。
了
福岡教育大学初等教育教員養成課程 神谷 美惠