半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート
私が今回カンボジアを訪れた目的は主にカンボジアにおける教育制度と孤児などの恵まれない子供たちについて学ぶためだ。実際に訪れてみると、現地に行ったからこそ知ることができたことや、予想していたこととは違ったことに沢山出会った。
カンボジア大学を訪れた際、そこでできた友人にカンボジアの教育制度について教えていただいた。カンボジアの教育課程は日本と同様に義務教育であり、小学校六年間、中学校三年間、高校三年間となっている。小学生のうちに学ぶのは数学とクメール文学の二教科のみであり、中学からはそれに加えて化学、物理、生物、地球科学、道徳、地理、歴史を学ぶ。しかし、義務教育といっても日本のように全員が当たり前に学校に通える訳ではない。理由は様々であるが、一番多い理由が経済的に貧しく家族の生活の為に働かざるを得ないということだ。また、田舎の方の家庭では学校までの距離が数十キロあるなどして遠すぎて通うことができないという地理的な問題も存在する。カンボジアの教育制度には、基礎科目がほとんどで日本では当たり前である体育や音楽などの教科が存在しないことから、子供達のより健やかな成長のため情操教育の必要性が考えられる。また、地方の子どもたちが毎日安定して学校に通うためより多くの学校を作ることは不可欠だろう。
カンボジアでは、大学に進学する人はまだまだ多いとは言えない。カンボジアにおける大学進学率は5%であり、先進国に比べると非常に低い値となっている。しかし、それぞれの大学で充実した独自の奨学金制度が設けてあるなど、家庭の状況にかかわらず大学に通えるチャンスがあるといえる。ただ、首都に住む人々と地方に住む人々の間には情報の格差が存在し、奨学金に関する情報の得やすさに関しても、首都に住む人々の方が有利であり、逆に地方では電波の関係からスマートフォンが普及していないため奨学金の情報が全く入ってこない場合もある。
今回は偶然HOCという孤児院を訪れる機会を得た。
HOCとCAFE HOCについて。
私はカンボジアに行く前の事前リサーチの時点でCAFÉ HOCという場所が気になっていた。ただ、そこについて知っている情報は日本人女性の岩田さんと孤児の子供たちが運営しているcaféであるという情報のみで、詳細は何もわからなかったため事前のアポイントメントなしで訪れた。Caféに入ってみると多くのお客さんで賑わっており、聞いていた通り本当に若い青年や少女がお店を回していた。しかし、そこに岩田さんの姿はなく、ウエイターをしていた青年に聞いてみると、今は孤児院にいらっしゃるとのことだった。その時初めて、CAFÉ HOCが孤児院HOCの併設のカフェであるということを知った。その後、青年が岩田さんに電話をしてくださり、私はHOCを訪れることになった。HOCへ向かうトゥクトゥクでの道のりは進むほど整備された道が減っていき、ガタガタ道になっていった。HOCに着くと岩田さんと子どもたちが笑顔で迎えてくれ、岩田さんは私に沢山のお話を聞かせてくださった。岩田さんが初め国際協力に興味を持たれたきっかけは19歳の時に見たドキュメンタリー番組だったそうだ。しかしその道を志すも、ご両親に反対され一度別の道に進まれたが、45歳の時やはり何かしたいと奮起された。その後、日本語教師の資格を取り、N G Oに加わるなど日本からできる様々な国際協力をされた。ただ、日本にいてできる支援は限られており、岩田さんはまずいろいろな国を実際に見ようと国を回られ、カンボジアを訪れていた時に偶然僧侶の方が運営するH O Cに出会ったそうだ。その後岩田さんは僧侶の方に働きたいと頼み、HOCで働くことになり現在に至る。
岩田さんは、子どもたちがHOCを巣立った際、それぞれが強くしっかり生きていくことができるように人材育成に特に力を入れている。子どもたちは平日は学校の勉強のみならず、HOCでクメール語、日本語、英語、コンピューターの学習をしながら、土日は自分たちで野菜を育てており、幼いながらにみんな忙しい日々を過ごしている。そんな子どもたちは、日々の勉強の成果からか日本語がとても上手で、一人一人私に対して日本語で自己紹介をしてくれた。子どもたちがHOCに来るのにはいろいろなバックグラウンドがある。親からD Vを受けていた子供を近所の人が連れてくるケースだったり、学校が遠すぎて通えない距離に住んでいた子供たちなどだ。そういった子供を教育などを安全な環境で受けられるHOCで受け入れている。
また、CAFÉ HOCについては、子供たちの経営スキルなどを磨く為に始めたそうで、実際にほとんどのことを子供たちに任せっきりにしているそうだ。メニューは主に日本食で、カフェの壁にはHOCを卒業し画家になり活躍されている方が書いた大きな素敵な絵が飾ってあった。今ではその方がHOCの子供たちの憧れとなり、画家になることが夢の子供たちが増えたという。しかし、今カフェの建物を元の所有者に返さなければいけない期限が迫っており、カフェは存続の危機に立たされている。しかし、岩田さんはこれから子供たちとカフェをどうしたら続けられるか沢山話し合い必ず続けると、とてもポジティブな様子だった。
今回岩田さんと子供たちのもとを訪れ、困難があっても笑顔で居続ける子供達と、強い岩田さんにとても感化され、また素敵な出会いに感謝している。
今回、日本では得られない学びが沢山あり、このような機会を与えてくださった方々にとても感謝しています。ありがとうございました。
第12期生 田中 えり 福岡大学 法学部経営法学科