半田スカラシップ・カンボジア遊学生企画 レポート
私の遊学の目的は、カンボジアの人々の夢を知ることです。
私は長崎大学で医学を学んでおり、将来は国際的に働く医師として女性の医療に携わり、世界の医療水準の向上に貢献したいと考えています。夢は医療支援のマッチング機構の構築です。医療資源を求めている病院と医療資源を提供したい企業を引き合わせます。国境を越えた資源流通の活性化を促進することで、質の高い医療を広げていきたいです。
大学2年次に、独立行政法人国際協力機構(JICA)の青木恒憲先生が担当する「国際協力と開発援助」の授業を履修しました。協力や援助は押し付けであってはならず、相互理解の上に成り立つべきだと学びました。その相互理解のためには人と人の関わりが不可欠であり、課題解決のためには、他者への感受性と他者の多様性に理解を持ち、他者と協力することが重要であることを強く実感しました。
私の夢を叶える第一歩は、カンボジアの人々と対話をすることにあると思います。彼らの夢を通じて、彼らの価値観や文化を理解したいと考えています。
私は2024年9月に在福岡カンボジア王国名誉領事館が主催する半田スカラシップの遊学生としてカンボジア大学とアンコール遺跡を訪れました。
カンボジア大学は首都プノンペンにある私立大学で、法律やコンピュータサイエンス、人文科学、教育学、経営学、科学技術、外国語、国際関係を教えています。
私は様々な授業を選択しました。具体的には、クメール文化、経済発展の理解、カンボジアの歴史、小規模ビジネスについての授業です。それぞれの授業の内容を記述します。
「クメール文化」の授業ではLGBTQ +に関するテーマでBoy’s Love作品の経済について学びました。Boy’s Love作品が授業テーマとなった背景には隣国のタイの影響があるのではないでしょうか。ディスカッションの時間では男性が日焼け止めを塗ることの議論が印象的でした。郊外出身の学生によると、彼女の地域では男性が日焼け止めを塗ると批判的に見られることがあるそうです。
「経済成長の理解」の授業では8人グループに分かれ、経済成長にまつわる議題について話し合いました。議題は以下の5つでした。天然資源の豊富さがなぜ経済成長を妨げることがあるのか、内陸国が発展するのがなぜ難しいのか、なぜ一部の国は他の国よりも早く経済的に発展したのか、女性差別が経済発展にどのような影響を与えるのか、文化的態度が経済発展に与える影響です。カンボジアは海に接していますが、海上輸送はタイの港を利用することも多いようです。カンボジアの地理的条件やアンコール遺跡に対する思いへの理解が深まりました。
「カンボジアの歴史」の授業では、クメールの歴史からカンボジア政権まで幅広く学びました。クメールの歴史ではプノンクレン遺跡のビデオ教材を視聴しました。プノンクレンは山にあり、シバ神の象徴であるリンガが川の中の岩に1000体彫られています。このリンガを水が通ることにより、聖なる水となります。この水はメコン川にも流れているそうです。
「小規模ビジネス」の授業では、Martin G. Jangles 氏の「Hospitality management accounting」の教材をもとにキャッシュ・フロー計算やビジネスを行う場所の重要性を学びました。首都プノンペンの小規模ビジネス課題のひとつに駐車場の不足があるようです。小売店に対して、イオンなどの大規模商業施設は駐車場が広くあり、たくさんのお店が集まっているため利用頻度が高まっているようです。また、バイクの利用率が高い要因のひとつとして、駐車場がなくてもバイクを道に停められることにあるそうです。
また、カンボジア大学の学生の方々に夢についてのインタビューをしました。
オビさん:夢は自動車のデザインをすることです。現在は法律を学んでおり。卒業後に外国の大学で自動車デザインの勉強を学びたいと考えています。
へディーさん:夢はCHIPMONGグループのような大手銀行でコンピュータサイエンティストとして働くことです。現在は情報技術を学んでおり、コードを書くことが好きです。
タイさん:夢はABAのような大手銀行で統計家としてデータ分析に携わることです。現在、銀行のマーケティング分野でインターンをしています。
マナさん:夢はグラフィックデザイナーです。絵を描くことが好きで、特に家の装飾をパソコンで書いています。フォトショップをよく利用するそうです。
ソッニーさん:夢は公立の英語の先生になることです。自分の知識や経験を次世代に共有したいと考えています。カンボジアでは公立の先生になるためには一般知識、数学、クメール語。英語のテストを受けるそうです。現在は英語を専攻している。公立の先生は私立の先生に比べて退職後のサポートが手厚いようです。
チッターさん:夢は市長になることです。現在、市長のアシスタントとしてインターンをしています。
ヘングさん:夢はテレビ番組のMCになることです。テレビ広告や新聞に興味があります。現在はメディアの勉強をしているます。
チュイさん:夢はお金持ちのパートナーになることです。
ラッサーさん:夢は私立の英語の先生になることです。私立の先生の方が公立の先生に比べて給料が高いようです。私立の先生は特別なテストはないようです。私立学校にレジュメを提出し、面接を経て私立の学校の先生になることができます。
デイジーさん:夢は化粧品商品の小売店を経営することです。自身がモデルとして広告塔になることを考えています。
学生の方々一人一人に素敵な夢があり、インタビューの時間は本当に楽しかったです。次の世代を共に担っていく仲間として、励まされました。私も自分の夢を大切にして、将来彼らとまた語り合いです。
遊学を通して、カンボジアの方々と対話をするという目的を達成することができました。これから大学では病院実習が始まります。カンボジアでの思い出を糧に、日本の医療や医療機器への学びを深めます。カンボジア大学の学生から「月の光」の意味であるチャンダリア(ច័ន្ទលិច)と名前をつけていただきました。将来再びカンボジアを訪れ、医療機関や医療資源を通して、日本とカンボジアを繋ぐ月の光のような架け橋となりたいです。
今回このような素敵な遊学の機会をいただき、本当にありがとうございました。
第13期生 澤田 沙希 長崎大学医学部医学科