カンボジア&九州ニュース

池内桃子さんの こんなとこだよ!カンボジア/アートで発信する祖国

先日、「福岡アジア文化賞」の芸術・文化賞をカンボジアの音楽家が受賞したというニュースを目にしました。私の故郷とこの国、加えてアートという私が仕事で携わっている分野の話題に胸が躍りました。カンボジアは観光や、貧困とそれに対する支援活動などを切り口に語られることが多い中で、現地に暮らしていると日本では知られていないこの国の光が見えてきます。それがアートです。

受賞者はコン・ナイ氏、73歳の伝統楽器チャパイの奏者で吟遊詩人、日本で例えるなら琵琶法師のような存在です。その弾き語りはもちろんのこと、文化人が次々と粛清された内戦時代を奇跡的に生き抜き、チャパイを後世に継承している点がたたえられています。

ナイ氏のような先達のほか、これからの時代を担う若きダンスグループ、バンド、劇団、写真家、絵描きなどが、現在のアートシーンを盛り上げています。歴史や社会問題、伝統の保存と発展のジレンマなどをテーマに、それぞれが精力的に作品を発表し、彼らが誇る祖国を世界に発信しています。

私が勤めるサーカス団もその役割を担っています。出演者たちは「ショーを通じて国を知ってもらえることがうれしい」とよく言います。彼らが舞台に上がるたびに、人々の中に「新しいカンボジア」が形づくられているのです。その瞬間をすぐそばで目にしながら、カンボジアという国のエネルギーと可能性を感じています。(シエムレアプ在住サーカス団職員)


写真:サーカスの公演が終わって観客にあいさつする出演者たち

2017年7月3日 西日本新聞

在福岡カンボジア王国名誉領事館

  • 開館日 月曜日~金曜日
  • 閉館日 土曜、日曜、日本の祝日
  • 開館時間 9時半~12時半

年末年始、ゴールデンウィークなどの特別期間は、その都度お知らせします。

開館時間 9:30~12:30
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